「8月15日のプレーボール」その7.最初の試合 成田中対京都二中
今日は8月26日。
前投稿に引き続き、
8月1日放映の「歴史秘話ヒストリア 8月15日のプレーボール
高校野球 戦火の中の青春」より。
番組ではないけど、
この動画が目に入りました。
第28回全国中等学校優勝野球大会の映像がありました。
昭和21年、大会初日は8月15日。
8月15日は太平洋戦争が終わったhからちょうど1年。
8月15日が選ばれたのは、そのような日をあえて選んで、
8月15日が敗戦の日ではなく、高校野球が復活した喜ばしい日と
したかったのでしょうか。そんな想像をしました。
前投稿で書いた記念ボール贈呈のシーンありました。
前投稿の新聞記事の写真よりも鮮明です。
謎の写真↓
この写真は何だろう?
何か、開会式に向けて、いいものを落下させた?
たとえば、ポール・ラッシュ中佐の贈呈した記念ボールが、
パラシュートでグランドに落とされた・・・
などと予想しました。
調べました。
このサイトには、次のように書いてありました。
西宮球場の上空を飛ぶ米軍機。
後部から見える白い帯は、散布された殺虫剤のDDTだ。
戦後、シラミやノミを駆除するため、
連合国軍総司令部(GHQ)が国内中で使った。
人が大勢集まる球場も例外ではなかった。
何と!殺虫剤!
全く予想外でした。
さらに次のような文章もありました。
戦後初の第28回大会は、GHQによる「占領色」が色濃かった。
大会会長があいさつした後、祝辞を述べたのは
元立教大教授でGHQのポール・ラッシュ中佐だ。
その後、ラッシュ中佐は代表19校の主将と握手を交わし、
米国製のボールを寄贈。米軍機の祝賀飛行もあった。
米軍機の祝賀飛行もあったのですが、
上の写真は、DDT散布でした。
この動画で説明はなかったです。
観客や選手は、どんな気分で、白い粉をかぶったのだろう。
あまりに今と状況が違いすぎて、予想がつかないです。
そして記念すべき第一試合が、
成田中(千葉県)VS京都二中の試合でした。
第一試合だったのですね。
ここで前投稿でも書いたシーンがありました。
再掲載。
成田には第六回二死後両石原の二安打で
好機をつかむかと見えたが、
石原(照)の本塁滑り込みの失敗で
寸前に憤死したのは、(中略)惜しまれる。
(昭和21年8月16日朝日新聞)
石原照夫さんはピッチャーであり、
相手投手との投げ合いで、0-0が続いていました。
自らがホームインして、均衡を破ろうとしました。
しかし、アウト。
その憤死した時の写真です↓
石原照夫さん↓
ナレーター:(写真を見ると)キャッチャーがタッチする前に、
ホームインしているように見えます。
成田中のチームメイトは、石原(照)が、
ホームベースに滑り込んだ瞬間をはっきりと
覚えていると言います。
石田さんと同じチームの、もう一人の石田(利男)さんn証言。
石田(利):ヒット打って、走ってくるのを見ていたから、
(中略)タイミングはセーフだった。完全に。
初の得点だなと思った。
しかし、前述したように判定はアウトでした。
ナレーター:この場面が勝負の分かれ目となりました。
0対1で成田中は敗れました。
冒頭の動画より。
写真は京都二中の得点シーンです。
試合直後、ホームベースをはさんで両校のあいさつ。
その後、ホームベースで憤死した石原照夫さんは、
投げ合った相手校のピッチャーのもとに駆け寄って、
次のように言いました。
石原(照):ありがとう。次の試合、頑張れよ。
相手投手:おう。
ナレーター:悔しさをにじませることなく、
惜しみないエールをライバルに送ったのです。
この時の心境を、石原は後にこう振りかえています。
石原(照):セーフでもアウトでも
そんなことはどうでもいい。
戦争が終わり、思い切り野球ができた。
夢中で投げられ打てた。
それだけで十分だった。
ナレーター:ただ生きて、白球を追う。
それがどれだけありがたいことか。
グランドを駆け回った球児たちは、
思いのままプレーをする喜びにあふれていました。
石原(利):当時はね、負けて悔しいって問題じゃないんだよなあ。
ああ、ここで試合をしている。
ここで試合して、好きな野球ができてさ、
もう純真そのものじゃなかあ。
ひとつのスポーツに打ち込めた人間として
俺は、幸せだったと思うね。
ナレーター:戦時中、何の役にも立たない遊びと非難されてきた野球。
その野球が、戦争で傷ついた人々の心を癒し、
戦後の日本を牽引する力となっていったのです。
戦争は、やりたいと思ったことができなくなる時だと、
番組「英雄の選択」で磯田道史さんが言っていました。
やりたいと思っていた野球ができた時の、
2人の石原さんの言葉は、尊い。
やろうと思えば、とことんできる平和な今を、
もっと大切にしたい。
もう少し、とことんやりたい。
最後に、第28回全国中等学校優勝野球大会の
優勝校を紹介。
決勝戦で2-0で京都二中を破った
浪華商業でした。
冒頭の動画の写真です。
つづく
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