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2018年1月20日 (土)

「なぜ日本人は落合博満が嫌いか?」その2/育つ者は見逃さず

 

今日は1月20日。

  

前投稿に続いて「なぜ日本人は落合博満が嫌いか?」

テリー伊藤著/角川oenテーマ21)より引用します。

  

ブルペンはふつう6~7人で投げるのだが、

落合監督はブルペンを広げて10人が並んで投げられるようにしました。

順番待ちせずに、投げたいときに投げられる・・・・・

 

そして、それ以上に落合監督が狙っていることがある。

ピッチャー同士の対抗意識だ。

「あいつも投げてる。こいつも投げてる。その隣で自分も投げる。

いくら『自分のピッチングに集中してますから気になりません』

と口では言っても、いやおうなしに目に入るよ、

他のピッチャー連中のボールが。

この狭い間隔で、隣に投げてるヤツの息づかいまで

ハッキリ聞こえてくるから。

これがいいんだよ。

みんなして周りのピッチャーを意識して、

負けてたまるかっていう気持ちで投げてくれりゃあいいんだ」

これは、貧しかったころの日本のあちこちで見られた風景に

近いものがある。雑多な大部屋のダイナミズム。

そこで押し合い圧し合い(おしあいへしあい)、

揉まれて強い子になり、たくましい大人に育っていくという

古き良き大家族システムである。

親からして好き勝手な暮らしをしている核家族で

子どもは個室を与えられ、ぬくぬくと育てられて弱体化した日本人に、

ぜひこのブルペンを見せてあげたい。

(49~50p)

 

6~7人を10人にする、その裏には考えがある。

こういうのがすごいんだよなあ。

少し環境を変えることで、指導に有効な手段は、

私の身近にあると思うのです。それに気がつくかどうか?

マンネリに浸っていてはできない。

  

  

「去る者は追わず、育つ者は見逃さず」

そもそも2009年は「中日はBクラス」と

予想していた専門家が多かった。

なぜなら、エース川上憲伸、4番のタイロン・ウッズ、

2007年日本シリーズMVP男の中村紀洋、

この3人が一挙に抜けてしまったからだ。

かといって3人の穴を埋めるような補強をしているかといえば、

これまた「補強はしません」。

この戦力では、さすがの落合監督もBクラスに

沈んでしまうだろうという予想のほうが順当に見えた。

「就任6年目で、今年がいちばん厳しいシーズンになりそうですね」

そう記者団に聞かれた落合監督は、またもや強気な言葉を返して見せた。

「いや、いちばんおもしろいシーズンになるんじゃないかな」

そして、実際、おもしろいように、

彼らの穴を十分に埋める新たな選手がチームの中から台頭してきた。

入団4年目の吉見一起がリーグ最多の16勝を挙げ、

3年目のチェン・ウェインは防御率リーグトップに輝いた。

ホームラン35本、77打点のウッズの穴は、4番に据えたブランコが

39本110打点をたたき出して十分に埋めた。

6億円のウッズを放出して、3000万円でドミニカから連れてきた

「未知数」の外国人が、この働き。

なんと20倍の経済効率である。

落合監督の目には、それが見えていた。

彼らを育て上げる自信が、たしかにあった。

だからこそ、「おもしろい」と言えたのである。

こんなふうに、落合監督の「強がりに聞こえる言葉」の奥には、

常に根拠がある。

ただ、あまりにも先見の明がありすぎるから、

彼以外のすべての人たちには強がりにしか聞こえない。

それで、「素直じゃない」とか「かわいげがない」

などと思われてしまうのだ。

あとになって思えば、落合監督の言っていたとおりなのに、

そこを日本人は評価しない。

(68~70p)   

  

「育つ者は見逃さず」

身に着けたい力です。

身近にいる子の何が伸びて、その子の自信になっていくのかと

見ているつもりですが、なかなか見えない。

  

  

いま、お笑いの世界は「身の周り半径5メートルの笑い」が主流だ。

「きのう、こんなことがあってさ。もう、まいっちゃったよ」とか、

「ある、ある」というお笑い。そのほとんどが「ドジ話」だ。

自分がどんなにドジなことをしたかをおもしろおかしくしゃべって、

笑いをとる。

つまり、自分の弱みを世間にさらして、「こいつ、情けないヤツだな」

とか「バカだなあ」と思わせることによって、笑いを誘うのだ。

そして、それと対極にいるのが落合だ。

落合は、どんなときでも弱みを見せようとしないし、泣き言は言わない。

もし、落合が、お笑い芸人たちのようなマネをしたら、どうなるだろう。

「まいったなあ。川上はメジャーに行っちゃったし、ウッズもノリもいない。

これでどうやって勝てって言うの?」

そう弱音を吐く落合を見たら、きっと世間の人たちは

「かわいそうに」と同情したり、「落合も、俺たちと一緒で大変だな」と

共感したりするだろう。

自分の弱みを見せるお笑い芸人は支持され、

けっして弱みを見せまいとする落合は支持されない。

それがいまの日本であり、落合を取り巻く状況なのだ。

(70~71p)

 

まだこの続きがある。

それは次の投稿で。

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