「きのこ雲の下で何が起きていたのか」その6/フラッシュバーン
今日は8月12日。
昨日の投稿に引き続き、昨年の8月6日放映の
「NHKスペシャル きのこ雲の下で何が起きていたのか」
の聞き書きをしていきます。
ナレーター:原子爆弾はその年だけで
14万人以上の命を奪いました。
多くはやけどによるものでした。
やけどをもたらした熱線。
爆心地付近の地表温度は、3000℃以上となり、
鉄をも溶かしました。
御幸橋の写真には、熱線による原爆特有のやけどが
写っていることがわかってきました。
女性の顔は黒ずみ、目や口の周りが腫れ上がっています。
この人の手のひらは、大きく腫れていることがわかります。
日本熱傷学会の元理事、原田輝一医師に、
医学的に分析してもらいました。
原田医師が特に注目したのは、この女性と見られる人。
破れた服のようなものが、実は肩から垂れ下がる皮膚だと言います。
原田医師:ここで見えるのは、でこぼこの皮膚ですので、
かなり深いところで比較的短時間に
皮膚がパッとはがれてきたということでしょうね。
通常の生活をしているなかで起こりえる熱傷ではないですね。
ナレーター:通常では起こりえないやけどだとい原田医師。
根拠として示したのが、戦後まもなく書かれたアメリカの論文でした。
アメリカは、広島に原爆を投下した後、
深刻なやけどが発生したことに気づき、
密かに研究を行っていました。
その結果報告されたのが、フラッシュバーンと呼ばれる
特殊なやけどでした。
女性のやけども、フラッシュバーンだったのではないか、
原田医師が推定したメカニズムです。
強烈な熱線が当たると、皮膚に含まれる水分が、
一瞬で水蒸気になります。
水蒸気で膨らんだ皮膚は、裂けて垂れ下がります。
これが原爆特有のフラッシュバーンです。
この時、激しい痛みに襲われます。
表皮と真皮でできている皮膚に、痛みを感じる痛覚神経が
はりめぐらされています。
フラッシュバーンによって、痛覚神経がむき出しになっていたのです。
原田医師:相当痛いと思いますね。
痛覚神経というのは、皮膚の中の真皮層を通ってきて、
真皮層はどこの層でもけがをすると痛いですね。
ですから、その傷全てが深く神経を刺激していると思いますから、
おそらく人間が感じる痛みの中で、
最大の痛みを感じてたんではないかなと思いますね。
皮が裂けて垂れ下がるというのは、このような仕組みだったのですね。
酷いことです。
「人間の感じる痛みの中で最大な痛み」
想像を絶します。 つづく。
コメント