「Newton別冊」からワーキングメモリの説明
今日は1月10日。
前投稿のつづき。
「Newton別冊 能力のしくみ―記憶力,直観力,発想力,天才脳など」
(ニュートンプレス)からの引用を続けます。
ワーキングメモリについて86~87pに書いてありました。
「前頭連合野は行動や感情をコントロールしている」
はさみをさがしにとなりの部屋に行ったとき、
何をさがしに来たのか忘れてしまった経験はないだろうか。
これには、「ワーキングメモリ(作業記憶)」とよばれている前頭前野の機能が関係している。
ワーキングメモリは、短期記憶の一種である。
だが、ほかの短期記憶にはない、重要な特徴がある。
それは、「行動のために使われる記憶である」ということである。
先ほどの例でいえば、「はさみをさがす」という行動を行うために、
「はさみ」についての記憶をワーキングメモリに入れておいて、
となりの部屋でその記憶を使ってさがすのだ。
このとき、声に出して「はさみ、はさみ・・・・」と連呼しつづければ忘れることはない。
ワーキングメモリとは、声に出すかわりに、
脳の中で暗唱しつづけるような機能である。(86~87p)
「行動のために使われる記憶」という説明はわかりやすいです。
「脳の中で暗唱しつづけるような機能」はイマイチすっきりしない説明です。
どういうこと?
前頭連合野は、
目や耳などから得られる身のまわりの状況や体の内部環境(現在についての情報)、
将来の予定(未来についての情報)、記憶や知識(過去についての情報)などに
アクセスすることが可能である。
そうしたぼう大な情報の中から、
自分にとって意味のある情報だけを選んで(これを「選択的注意」という)、
それを一時的に保持しておく(ワーキングメモリ)。
そして、その情報をもとに、行動や感情を適切に調節する。
前頭連合野とは、ワーキングメモリを中心とした脳全体を制御する
コントロールセンターなのである。(87p)
この図も頭の整理に役立ちます。
「選択的注意」というのが、ワーキングメモリの働きではなく、
前頭連合野内のほかの部分の機能のようです。
「選択的注意」にはホルモンの一つ「ノルアドレナリン」が重要な役割を果たしているようです。
引用します。
「選択的注意とノルアドレナリン」
前頭連合野を含む大脳皮質などには、
ノルアドレナリンを神経伝達物質として放出するニューロンが、
脳幹から投射している。(ニューロン=神経細胞)
サル前頭連合野46野でノルアドレナリンのはたらきをさまたげると、
選択的注意の機能が低下することが報告されている。
選択的注意の異常は、ADHD・うつ病・パニック障害(不安神経症)に
関連していると考えられる。(87p)
「ADHD」の説明も引用します。
「ADHD(注意欠陥多動性障害)」
主に小児期にあらわれる精神疾患だが成人でも発症する。
一つのことに注意・集中することができず、落ち着きがなくなる。
考えずに衝動的に行動する。(87p)
ADHDは、ノルアドレナリンの分泌異常で「選択的注意機能」が働かない時に起きるし、
ドーパミンの分泌異常で「ワーキングメモリ」の機能が低下した時にも起きるようです。
なるほど。適切な判断ができないというわけですね。
ADHDについては、だいぶ見えてきました。
問題は「情動コントロール」です。
上の図でこう書かれています。
情動コントロール
前頭連合野は、ワーキングメモリにのった情報をもとにして、
情動をつかさどる大脳扁桃核や記憶をつかさどる海馬などの働きを
適切にコントロールする。(86p)
この文章の意味がイマイチよく理解できず。
扁桃核の役割は・・・・
扁桃体は快・不快の判断などを行っていると考えられています。
扁桃体が壊れると、自分にとって好ましいか好ましくないかが判断ができなくなってしまいます。
表情から相手の感情を読み取れなくなるそうです。
なので、本当は逃げるものに対して、平気で近づけたり、
怒っている人の近くに近づいていったりしてしまいます。
それが快なものか不快なものかを知っている役割が海馬なのだと考えます。
そうなると「情動コントロール」というのは・・・・・・う~ん、まだ十分理解できていない。
後日の宿題にしておこう。
まとめ。
ワーキングメモリは「選択的注意」機能を働かせて情報を得て、
さらに予定記憶や記憶・知識を利用して、次なる行動を決定する場所ということです。
指示は高次運動野に出され、行動に移ります。
ワーキングメモリトレーニングは、この流れがスムーズにいくように練習するわけです。
あとは「情動コントロール」の説明だなあ~。
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