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2023年11月15日 (水)

本「ご隠居さん」③ 熊胆(ゆうたん) 良薬口に苦し イチゴ落とし

  

今日は令和5年11月15日。

  

前記事に引き続き、

「ご隠居さん」(野口卓著/文春文庫)

より引用していきます。

   

「人に薦められ、半年ほどまえから熊胆(ゆうたん)を服用しておってな」

「熊の胆(くまのい)を、でございますか」

(133p)

  

「ゆうたん」と耳で聞いて、「熊の胆」が思い出せる。

そこがすごい。

熊が「ゆう」と読むなんて、意外です。

ちなみに最近多い「熊害」も「ゆうがい」と読みます。

読めんよ。

  

 

生薬屋で訊いたが、熊はなに一つとして捨てるところがないとのこと

であった。毛皮は敷物や防寒着になるし、肉を食べるとお産が軽いと

言われ、妊産婦に食べさせる。

そのほかもすべて薬となった。

熊の胆は胆嚢(たんのう)で胃腸の特効薬だが、肝臓を乾した粉末は

心臓と労咳(肺結核)に効くそうだ。 骨をすりつぶして粉にし、酢また

は酒で練りあわせて塗ると打ち身によく、焼いて粉末にして呑めば、

血圧や頭痛の薬となり、虚弱児にも効果があるとのことだった。

血は捕獲した現場で腸に詰めて持ち帰り、 乾して粉末を用いる。頭痛、

疲労回復によく、また強壮剤となった。 舌を乾してその粉末を呑むと、

熱冷ましや傷薬として効果がある。熊の掌(てのひら)の肉は、強精剤

として絶品だと言われている。

「おめえの能書きが長いってことは、あまり聞き出せなかったってこと

だな」

「旦那にかかっちゃ、ごまかしは利かねえ。そのとおりでして。 何軒

かの生薬問屋を廻りやしたが、茂吉とか山猟師の熊の胆売りは、出入り

していませんでした」

生薬屋では熊の胆を熊胆と呼んでいるが、薬用人参を城主だとすると、

熊胆は国家老に喩えられる薬物である、とか、「良薬口に苦し」の諺は、

そもそも熊胆から生まれた、などということは教えてくれた。

(148〜149p)  

  

今、話題の熊の話。

「良薬口に苦し」は熊胆から生まれたなんて、嬉しい知識です。

  

  

母熊は春になると、前年に生まれた仔熊を木イチゴのたくさん実る場所

に連れて行き 仔熊が夢中で実を食べているあいだに捨て去る。それをイ

チゴ落としと言う。以後、仔熊は自力で生きていかねばならないのであ

る。

(180p)

「イチゴ落とし」で調べてみました。

新潟県立浅草山麓 エコ・ミュージアム 里山のツキノワグマ 105  〜初夏を迎えた里山は「子グマと苺落とし」の季節〜

  

里山や河川敷、農道、人家周辺にある「桑の実(クワイチゴ)」もまた

子グマの大好物です。ツキノワグマの親子(母グマと子グマ)は出産か

ら約1年半の間行動を共にしますが、子グマが1歳の初夏の頃に「親離れ

・子離れ」を迎えます。子育てを終えたメスグマはこの直後にオスグマ

と交尾し、秋以降の摂食状況(餌資源の獲得量)に応じて子宮内へ受精

卵が着床するかどうかが決定されるようです。

  

現在も残っている言葉でした。  

「イチゴ落とし」のイチゴは、桑の実なんだ。

その方が野生的であるな。

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