「ミャンマー現代史」⑥ 日本のパイプ 渡邊秀央氏 丸山市郎氏
今日は令和4年12月12日。
12月6日までに5本書いた記事の続きです。
「ミャンマー現代史」(中西嘉宏著/岩波新書)
より引用します。
この本、明日、図書館に返さなくてはなりません。
手元に残しておきたい文章は、
ブログにできるだけ書き留めておこうと思っています。
日本には、軍との「パイプ」があると報道されていました。
そのパイプは、具体的には3人です。
1人は、先に書いた笹川陽平氏です。
あと2人とは。
元衆議院議員で日本ミャンマー協会の会長の渡邊秀央氏。
駐ミャンマー大使である丸山市郎氏。
2人に関する記述を引用します。
渡邊は衆議院議員、参議院議員として長く日本・ミャンマー友好
議連の一員を務め、1987年、官房副長官時代に、かつて秘書と
して仕えていた中曽根康弘からミャンマー支援を任された。軍事政
権時代のミャンマーを訪問した際、当時、北東部にあるシャン州で
軍管区司令官だったテインセインと知り合う。外国人議員がミャン
マーの地方に赴くことなどまずない時代のことだ。歓待を受けたと
いう。そのテインセインが大統領に就任したことで、渡邊は政権と
親密な関係を築いていく。ミンアウンフラインとも最高司令官就任
直後から交流を深めた。(中略)
民政移管時の野田政権、その後の安倍政権と、対ミャンマー政策
の転換に際して影響力を発揮した。日本が主導してヤンゴン郊外で
進めたティラワ経済特区の開発では、ミャンマー政府との交渉、日
本政府内の調整で、渡邊の力がいかんなく発揮されたという。
(243p)
渡邊氏は88歳。
元気な88歳です。
渡邊氏は、確かに軍とのパイプは持っているようです。
ただ、それがどう働いているのか。
この「パイプ」が軍の行動を変えられるという期待、あるいは逆
に、この「パイプ」がミャンマー軍を支えているかのような話も広
がった。
(242p)
これはどういう意味だろうかと思いました。
そんな時に、次の記事を読みました。
※東京新聞 在日ミャンマー人の間で評判悪い日本の元国会議員は何をしたのか
8月の記事です。
この記事では、渡邊氏の行動は、ミャンマー軍のやったことに
お墨付きを与えるようなことをしていると指摘しています。
そして笹川陽平氏も仲間であるとしています。
東京新聞の記事の引用です。
「渡辺氏や笹川氏は自分たちの利益や事業を守るため、国軍の意向
に沿って動いているようだ。日本政府も国軍とつながりたい本心が
ある」。ソーバラティンNUG駐日代表は、権益確保を目論む日本側
の思惑を指摘し、負の側面を懸念する。「関係維持を図る渡辺氏ら
と国軍は面会し、『日本が統治を認めた』とプロパガンダに利用し
ている」
NUGとは、民主派が国軍に対抗して樹立した挙国一致政府のことです。
民主派にとって、渡邊氏と笹川氏は嫌われています。
2人の本意はどこにあるのでしょうか。
もう一人の丸山氏。
渡邊と笹川がミャンマー軍との近さ、同時にアジア主義的な志向を感
じさせる一方で、丸山は、スーチーとも親しいことで知られた職業外
交官である。ビルマ語専門の外交官として現地での長い駐在経験があ
り、その間にミャンマー政財界に広く人脈を築いた。軍事政権とも民
主化勢力とも付き合う日本のミャンマー外交を体現する人物だろう。
その能力を買われて2018年にミャンマー大使に就任している。
(245p)
この丸山市郎氏はどうなのだろう。
おそらく67歳。
笹川氏と渡邊氏に比べて若い。
先月の日本人ジャーナリスト解放にも尽力されたようです。
この人は期待できるのか。
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