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2022年8月15日 (月)

「翼をください」② 朝日新聞「神風」が東京ーロンドン間を飛んだ

    

今日は令和4年8月15日。

  

前記事に引き続き、

「翼をください」(原田マハ著/毎日新聞社)

より。

  

アインシュタインが第一次世界大戦時に平和主義を貫いたことをエ

イミーは知っていた。たしか、「兵役につかなければならない者の

二パーセントが参戦を拒否すれば、戦争は成立しない」とも言って

いた。そしてナチスを批判して、アメリカに亡命してきたのだ。

(92p)

  

小説のエイミー・イーグルウィングは、

アインシュタインとも交流します。

どこまでがアメリア・イアハートのことなのか、

判断が難しいです。

ところで、このアインシュタインが言った

言葉の意味がよくわかりません。

調べました。

この言葉には続きがありました。

名言によると、アインシュタインは続きで次のように言いました。

  

なぜならば、どの国もその2%を越える人を収容する刑務所のスペ

ースがないからです。

  

なるほどです。この部分がないと意味がよくわかりません。

  

1930年代も後半になって、世界は難しい時代に突入していた。列

強の軍備は着々と増強されつつある。そんな時期に、軽やかにいくつ

もの国境を飛び超えていかなければならないのだ。男性パイロットで

あれば、いくら事前に各国に協力を求めたところで疑われ、領空を侵

して飛ぶことなど簡単には許されないだろう。

女性であることが、こんなときに追い風になるとは、エイミーの心中

は複雑だった。

(106p)

  

1930年代後半の雰囲気を伝える文章です。

1937年のアメリア・イアハートの挑戦は、女性だからできたのですね。

  

  

その日、朝丘新聞の社用機、神風号が、東京ーロンドン間の渡欧飛行

に成功し、凱旋して帰ってきた。飯沼正一操縦士と、塚越賢吉機関士、

暁星新聞社の宿年のライバルである朝丘新聞社の航空部員である彼ら

ふたりは、機体もエンジンもすべて国産製の飛行機に乗ってこの快挙

を成し遂げたのだ。(1937年)4月1日に羽田飛行場を出発した

同機は、4月9日ロンドン郊外のクロイドン空港に着陸。FAI(国

際航空連盟)が認める日本人初の都市間連絡飛行の記録を樹立したの

だった。

世界各国、特にアメリカでは飛行新記録レースが真っ盛りであり、日

本もこれに肩を並べたい、できれば出し抜きたいという強い思いが、

軍事関係者や民間関連企業にはあった。

ヨーロッパではナチス・ドイツが軍靴を響かせて周辺各国に脅威を与

え、アジアでは日本が中国に侵攻、満州国を建国して存在感を高めて

いた。より強い飛行機の開発とパイロットの育成は、列強の最大の関

心事になっている。

そんな事情を背景に、神風の渡欧飛行挑戦は、表向きは「英国ジョー

ジ六世戴冠式祝賀」を謳いながらも、純国産製飛行機を日本人パイロ

ットの操縦で飛ぶことにより、日本の航空開発の進歩と優れた技術を

列強に見せつける、という真の目的があったのだ。

(182~183p)  

  

この小説でどこがフィクションで、

どこがノンフィクションであるのか判断が難しいです。

この朝丘新聞社用機の飛行はどうなのだろう?

いかにも朝日新聞だと思って、朝日新聞で検索しました。

ありました。

朝日新聞小史

ここから引用します。

  

その訪欧飛行12周年にあたる1937年には、純国産機による第2回

訪欧飛行が行われました。

4月6日午前2時12分に立川を発った社機「神風」は台北―ビエン

チャン―カラチ―バスラ―バグダッド―アテネ―ローマ―パリを

経由して10日午前0時30分(日本時間)にロンドンに到着しました。

東京-ロンドン間を94時間17分56秒、亜欧連絡飛行で世界新記録

を樹立しました。

  

速さが世界新記録だったようです。

微妙に日にちと、飛び立った場所が違いますが、

この部分はノンフィクションでした。

  

「クロイドン空港」で検索したら、

読みがいのある記事と出合いました。

空のわだちを眺めていたら。94時間・不眠不休でロンドンまで飛んだ日本の英雄

ロンドンを拠点とするライター、マック木下さんの文章です。

塚越機関士は、日本人の父とイギリス人の母をもつハーフであったこと。

塚越機関士は1945年の終戦直前に、

空路上で連絡が途絶えて戦死扱い。

飯沼操縦士は1941年に事故死しています。

1937年の春に大記録を出して凱旋した2人の

その後の運命を知りました。  

  

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