「キャパとゲルダ」② ロバート・キャパという名前の誕生
今日は令和4年8月28日。
前記事に引き続き、
「キャパとゲルダ ふたりの戦場カメラマン」
(マーク・アロンソン&マリナ・ブドーズ著/原田勝訳
/あすなろ書房)より。
スペイン内戦時の若き男女キャパとゲルダの青春物語でした。
表紙をめくった裏には、次のように書いてありました。
キャパはゲルダに写真を教え、
ゲルダはキャパを、
戦場カメラマンとしてプロデュースした。
激動の1930年代、夢と理想に燃え、
カメラを武器に闘った
若き二人の素顔とは・・・・・?
「映像の世紀バタフライエフェクト」で知った2人のことが
よくわかった本でした。
引用していきます。
アンドレとゲルダには、運を引きよせられるかもしれない大それた
方法がひとつあった。名前を変える、という手だ。決めたのはどち
らなのか、はっきりとはわからないが、おそらくゲルダではないか。
頭のいいゲルダは、名前がもつ力を計算していたのだろう。二人は、
もっと写真でかせぐための計略を編みだした。それは、ゲルダが芝
居を打ち、ロバート・キャパという名の、裕福で著名なアメリカ人
写真家が撮影した写真を売りこむというもので、キャパの写真は一
枚百五十フランは下らない、という設定だった。ゲルダもまた名前
を変えることにした。ゲルダ・ポホリレを、ゲルダ・タローにする
のだ。この名前には、どこか女優のグレタ・ガルボに通じるはなや
かさがある。新しい名前は、人を惹きつけて魅了する力を二人に与
えた。
(31p)
「映像の世紀バタフライエフェクト」で初めて知ったこと。
「ロバート・キャパ」というのが作られた名前であること。
この本でも確かめることができました。
彼らの思惑はうまくいって、ロバート・キャパの写真は売れました。
ゲルダ・タロー。
日本人の感覚だと、男性名「太郎」が浮かんでしまいます。
岡本太郎の名前からゲルダは取ったという説も見ました。
ちょっと違和感のある名前です。
ゲルダは魅力的な名前です。
1920年代から30年代にかけて、あるドイツ企業が、もちはこ
び可能なライカというカメラを製造し、写真界に革命を起こした。
その直後、今度は競合する企業がコンタックスというカメラを発売
した。いずれのカメラも小型で、手のひらにしっくりおさまった。
どちらも映画撮影用と同じ、幅三五ミリのフィルムを使用し、カメ
ラの左側にフィルムカートリッジを装着し、中のフィルムを引き出
しながら上下の穴をスプロケットにかませ、右側のスプールに巻き
つけていく仕組みだった。シャッターボタンを押すたびに、光を遮
断していた内部のシャッター幕がひらき、フィルムが感光して長方
形の画像が残されていく。撮影者はフィルムを巻きあげ、次の画像
を撮影する。内部の機構はすばやく動くので、巻きあげてから次の
写真を撮るまで一秒もかからない。まるで、静止画をたくさん連ね
て映画を撮影しているようで、事態の進展を刻一刻ととらえること
ができる。
おかげで、キャパもタローも、ほかの写真家たちも、動きまわって
はカメラをかまえ、何度もシャッターを切ることができるようにな
った。こうした新しいカメラは、二十世紀になって起こりはじめた
あらゆる事象に似て、スマートで、モダンで、軽量だった。
(40~41p)
キャパは、スペイン内戦時には、ライカのカメラを使っていたとのこと。
100年前、35ミリフィルムのカメラは、
画期的だったんだなあ。
この文章、私はわかります。イメージがちゃんと浮かびます。
押し入れには、35ミリフィルムのカメラがあります。
でも、デジカメやスマホのカメラしか知らない世代だと、
この文章は、わけわからないことでしょう。
100年の進歩は大きい。
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