「天空の星たちへ」② 復刻版に「疑惑のはじまり」が加わる
今日は令和3年8月21日。
前記事に引き続き、
「天空の星たちへ」(青山透子著/マガジンランド)
より引用していきます。
なんと、垂直尾翼が欠けたまま操縦していたとは?
一体どうしてだろう。あの部分にはスパーと呼ばれる三本の桁が入
って補強され、機体の中では最も頑丈な部分である。内部から与圧
をかけていないため、金属疲労が生じる確率も低い。
(140~141p)
青山透子さんは、事故直後の新聞を読んで、
次々に疑問を持ちます。
運輸大臣や総理大臣が「原因究明」を言わなかったこととか、
ボーイング社の動きが早いとか。
そして垂直尾翼についてもです。
相模湾で、垂直尾翼を発見して引き揚げた船についても
次のように書いている。
新聞各紙によると、海上自衛隊の護衛艦『まつゆき』が試運転中に
引き上げた垂直尾翼の一部には、両端にもぎ取られたような跡と、
何かがぶつかったような大きな穴があいていると記されている。
一体どうしてこんなことが起きたのか。この護衛艦『まつゆき』が
この相模湾で試運転中に、たまたまタイミングよくこの落下物を拾
ったのだろうか。
(142p)
垂直尾翼の損傷具合に疑問に思い、
それを発見した護衛艦にも疑問に思っています。
他にもいろいろな点を青山さんは疑問に思います。
2018年に、この本が文庫本になって復刻したことを知りました。
本のタイトルは「日航123便墜落 疑惑のはじまり:天空の星たちへ」
でした。「疑惑のはじまり」というのはピッタリだなと思いました。
隔壁破壊説についても次のように書いています。
さらに隔壁破壊が墜落の原因だとすると、客室内を爆風が吹きぬける
ことが前提条件となる。
そうなると爆風によって生存者たちの体にはどんな症状が出ていたの
だろうか。
爆風が吹くほどの急激な減圧となると、耳は聞こえなくなり、航空性
中耳炎となる。さらに肺から一気に吸い出されることにより、肺出血
もありうる。そのような症状が(生き残った)4名にあったのだろう
か。医師のコメントでは4名に見られる症状として、骨折しか見当た
らないが、落合さんやほかの生存者もインタビューに答えていること
から、鼓膜は破れていない。助かった4名は皆最後部の席であり、ち
ょうどトイレの向こうにある隔壁に一番近い席である。このトイレの
前の席で、さらに最強の垂直尾翼をぶっ飛ばすほどの爆風を体験した
4名が生き残っているという事実・・・。
この説は本当なのだろうか。どうも客観的事実と食い違っている。
(155p)
36年間、疑問に思わなかったことを、
私も疑問に思うようになりました。
なんで今まで疑問に思わなかったのだろう。
※ここでも道草 1985年8月12日、たくさんの流れ星が流れた(2010年8月12日投稿)
☝ この記事で書いた対馬祐三子さんの手帳に書かれた全文も
掲載されていました。
次が全文である。
「おちついて下さい ベルトをはずし 身のまわりを用意してください
荷物は持たない
指示に従って下さい (中略)
ハイヒール 荷物は持たないで
前の人2列 ジャンプして Jump and sit
機体から離れてください Go to a safe area
ハイヒールを脱いでください
荷物・物は持たないで下さい
年寄りや体の不自由な人に手を貸して・・・
Release Your seat belt Remove high(heel)
Don't take baggage follow our instruction
火災 姿勢を低くしてタオルで口と鼻を覆って下さい
前の人に続いてあっちへ移動して下さい・・・
Low position with a wet towel covering nose and mouth」
エマージェンシー訓練そのものである。陸上で不時着した場合、火
災を想定しての緊急脱出である。(中略)
スライドという膨らました緊急脱出用滑り台は、とがったものやハ
イヒールなどで傷がつくと使い物にならなくなる。そこでハイヒー
ルや荷物を持たないで、一気に滑り降りてもらうためのインフォメ
ーションだ。全員が脱出する時間は90秒以内が原則、指示がもた
ついては意味がない。前山さんは不時着したらすぐに乗客を誘導で
きるように、と考えて揺れる機内で必死にメモを書いたのだ!それ
を日本語だけでなく、英語も・・・。
信じられないほどの責任感・・・。驚くほどの冷静さ・・・。
ふんわりした雰囲気を醸し出す彼女から、想像もつかないほどの強
さを感じる。
(171~173p)
この本では仮名を使っています。
対馬さんが不時着を信じて、これだけのメモを書いて、
準備をしていたんだなと思いました。
つづく 今晩はここまで
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