「天孫降臨の夢」② 「聖徳太子」を創り出した人物
今日は令和2年12月28日。
前記事に引き続き、
「天孫降臨の夢 藤原不比等のプロジェクト」
(大山誠一著/NHKブックス)より。
中国では、皇帝は、政治・文化・社会のすべての場で唯一絶対の偉大
な権力者である。ところが、そのような唯一絶対というような人物は、
過去の日本の歴史には存在しなかった。実は、その後にも登場してい
ない。日本の歴史・風土にはそぐわない人物像なのである。だから、
当時の日本人には想像すら困難であった。そこで、それらしい理想的
聖天子の見本のような人物像を想定し、過去の皇族の一人をそれに見
立てて『日本書紀』の中に据えることにした。それが、厩戸王で、そ
の結果誕生したのが〈聖徳太子〉だったわけである。
(54P)
厩戸王は実存し、選ばれて、聖徳太子とされたという説です。
厩戸王が知ったら、ビックリですよね。
「聖徳太子」という名前は後世つけられたということで、
教科書の表記を「厩戸王」にしようと議論されたとのこと。
※聖徳太子が「厩戸王」になりかけた、歴史教科書の不思議な改定基準
当たり前だった「聖徳太子」が、この本を読んで揺らいでいます。
結局のところ、『日本書紀』の聖徳太子は儒仏道の聖人であるが、そ
の人物像の成立に大きな影響を与えた人物としては、儒教関係は藤原
不比等、道教関係は長屋王、そして太子関係記事の大部分を占める仏
教関係と中国的聖天子としての表現は道慈と考えてよいであろう。ほ
かにもさまざまな人が参加したかもしれないが、重要なのは『日本書
紀』の記述の方向性を示し得るリーダーの存在である。それが、この
三人であることは明らかと思われる。
(57p)
3人の中でも中心は藤原不比等でした。
「聖徳太子」を創り出した人物でした。
ビックリです。
年末は藤原不比等の本をもう1冊読んでいます。
馳星周著「比ぶ者なき」(中公文庫)です。
順番は「天孫降臨の夢 藤原不比等のプロジェクト」→
「比ぶ者なき」でよかったようです。
「比ぶ者なき」は大山誠一さんの説をベースにした
藤原不比等が主人公の小説でした。
大山さんの説を復習するのにうってつけの小説でした。
年内に読み終えて、ブログにまとめるのが目標です。
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