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2020年5月 6日 (水)

「本物の教養」② かつてなく、「個の力」が問われている

  

今日は令和2年5月6日。

   

前記事に引き続いて、

「人生を面白くする本物の教養」(出口治明著/幻冬舎新書)より

引用していきます。

  

 

日本人が自分の頭で考えないようになったのは、

戦後の復興のやり方に原因があるというのが出口さんの考えです。

日本はアメリカに追いつけ、追い越せと動き出しました。

  

 ルートが見えているということは、どこをどうやって登ればよい

かが分かっているということです。新たに自分の頭で考える必要は

ほとんどありません。余計なことを考えて遠回りでもしてしまった

ら、むしろロスが発生します。つまり、戦後の日本は、自分の頭で

考えることを必要としない、もっと言えば、自分の頭で考えないほ

うが都合がいい社会だったのです。

(51p)

  

 青田買い、終身雇用、年功序列、定年制というワンセットの労働

慣行のなかでは、大学で何を勉強したとか、教養があるとかないと

か、そのようなことは一切問われませんでした。極論すれば個人の

個性や主体性などは、じつはどうでもよかったのです。むしろ、言

われた通りに働く没個性な集団のほうが都合がよかった。そのよう

な社会システムのもとで日本は高度成長を謳歌し、復興を果たして

きたのです。

 このように考えてくると、戦後の日本がいかに特殊な社会であっ

たかがよく分かります。半世紀以上も戦争がなく(明治維新から第

2次世界大戦まで戦争の連続でした)、平均実質成長率で約7%と

いう高度成長が40年近くも続き、人口も増え続け、しかも平均寿

命(男性)も50歳そこそこから80歳にまで延びるという夢のよ

うな社会は、世界史のどこを振り返ってもあまり例がありません。

例外中の例外、私たちは「ガラパゴスのなかでガラパゴスの夢を見

ていた」のです。冷戦がとうの昔に終結し、人口が減り始め成長が

止まり、あらゆる指標が頭打ちになったいまの日本こそ、普通の国

に戻ったと言うべきです。

 夢の国から普通の国に戻った以上、日本も他の国々と同様、普通

の国としてやっていかなければなりません。世界を見渡せば、グロ

ーバル企業の幹部たちは、みんな必死に勉強し、いろいろなことを

知っていて、自分の頭で考えている、というのが実相です。

(54~55p)

  

やっぱり日本は「個の時代」になったのです。

もはや企業は守ってくれません。

自分で考えて、未来を生きていかなければなりません。

藤原和博さんはその境目は1997年だと言っていました。

ここでも道草 「本を読む人だけ」① 「それぞれ一人一人」という時代に変わった(2020年1月7日投稿)

私の年代は両方の雰囲気を体験しているわけです。

昔にとらわれず、かと言って、昔のよいものは残しつつ、

自分を変え、身のまわりを変えていく変革者に

なろうと思えばなれる立場にあると思います。

 

大事なのは、勉強して、自分で考える。

  

さらに追い打ちで引用します。

  

 このような状況下で、私たちには教養が求められているのです。

ただたんに物事をたくさん知っておいたほうがいいというのとは

わけが違います。行き詰まりをブレイクスルーするオリジナリテ

ィ、さまざまな相手を惹きつける「面白さ」「人間的魅力」、自

分の頭で考える力など教養の力を全開することが、切実に必要と

されています。戦後このかた、私たちは「みんな一緒に」を好ん

で得意としてきましたが、いまやかつてなく、「個の力」が問わ

れているのです。

「はじめに」で述べたように、私は教養とは人生を豊かにするも

のだと考えています。ですが、日本社会という大きな観点から見

ると、いま教養は、日本人の生き残りのための必要不可欠な条件

になっていると言えるのです。

(57p)

  

今は新型コロナウイルスのために、

前代未聞のことが起こっているときです。

実は頭の使いどころなのです。

一人一人が頭を使って、何かアイデアを作り、

それを持ち寄るときだと思います。

勤め先が守ってくれるわけではありません。

教師の給料だってどうなるかわかりません。

文科省や教育委員会の指示を待っているだけではダメで、

教師ができることを考え、実行する時だと思います。

「待ち」ではなくて「動」です。

  

先日、提案が一つ却下されたけど、今日はまた何か考えよう。

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