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2020年4月29日 (水)

沖縄「戦争マラリア」① 8カ月一緒に生活して話を聞く

  

今日は令和2年4月29日。

  

次の本を読みました。

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「沖縄『戦争マラリア』強制疎開死3600人の真相に迫る」

(大矢英代著/あけび書房)です。

   

引用します。

  

 2010(平成22)年春、ジャーナリストを目指して東京の大

学院で学んでいた私は、初めて波照間(はてるま)島を取材で訪れ

た。ある事件の真相を追うためだ。

 1945(昭和20)年、沖縄戦の最中、当時の全人口の3分の

1にあたる522人が死亡した。原因は戦闘ではなかった。熱病・

マラリアだ。蚊が媒介する恐ろしい感染症である。

 戦時中、米軍が上陸せず、地上戦もなかった波照間島では、空襲

など直接的戦闘による犠牲者はゼロだった。それなのになぜ大勢の

住民たちがマラリアで病死したのか。調べてみると、それは、住民

たちがマラリアの蔓延する西表(いりおもて)島のジャングル地帯

へと移住させられたことが原因だった。しかも、日本軍の命令によ

って、強制的に。

(4p)

  

冒頭で書かれたこの文章。

すでにこの出来事の結果が書かれているわけですが、

何が起こったのかわかりません。

なぜ波照間島の住民は強制的に西表島に強制的に移住させられて、

多くの人がマラリアで命を落としたのか?

想像はしましたが、結果想像は覆させられました。

  

   

 マラリアは熱帯、亜熱帯から温帯地方に広く分布する感染病だ。

主に、川や池、たまり水などに生息する「ハマダラ蚊」と呼ばれる

蚊が、肉眼では見えない微生物、マラリア原虫を媒介する。刺され

ると、マラリア原虫が血液を通じて人体へ侵入し、赤血球内に寄生

する。そして、マラリア原虫が赤血球内で増殖する時、高熱、震え、

悪寒などの症状を引き起こす。悪性の場合は、脾臓や肝臓の肥大な

どの合併症を発し、死に至る病である。

(30p)

  

具体的な説明である。この病気の怖さが伝わってきます。

  

  

Epson306 (39p)

西表島全体、そして石垣島の移住地はマラリア有病地であった。

  

  

 国家が戦争に向かう時、国や社会、民衆はどのように間違ってい

くのか。極限の状態に置かれた時、軍隊はどんな暴力性を持つのか。

私は、戦争マラリアの体験者の言葉からそれを見つけたいと思った。

そこには今、私が活きる社会にも通ずる、普遍的な教訓があるはず

だ、と。私を戦争マラリアの取材へと駆り立てるのは、結局のとこ

ろ、「今、戦争マラリアを撮らなければ」という危機感だと気づい

た。 

 2010(平成22)年12月、戦争マラリアの取材開始から9

か月が過ぎた頃、私は大学院に休学届を出し、東京を去った。向か

ったのは、八重山諸島の南の果てにある波照間島だった。日本最南

端の有人島であり、戦争マラリアで最も深刻な被害を受けた島だっ

た。そしてこの島で、私はある「おじい おばあ」と家族同然、一

つ屋根の下で8か月を過ごすことになる。

 波照間島に渡った私が最初に始めたのは、ビデオカメラを置いて、

サトウキビ農家になることだった。

(61~62p)

戦争体験者は、戦争の辛い体験を語るのを嫌がります。

いやがうえにも当時の辛酸な体験を思い出すことになります。

東京からぶらっと来た大学院生になんて話してくれません。

そこで大矢さんは、住み込むことにしたのです。

腰をすえて、一緒に生活して、ゆっくり聞くことにしたのです。

素晴らしい。  

  

  

 波照間島は、戦争マラリアで当時の波照間全住民の99,8%に

あたる1587人がマラリアにかかり、このうち30%相当の47

7人が死亡した(1947年資料による 資料名略)。1995年

に武富町が実施した再調査で死者数は552人に引き上げられた。

島民の3人に1人がマラリアで死亡し、八重山諸島の中で最も深刻

な被害を受けた島だ。

(66~67p)

  

浦仲孝子さんは、1945年に西表島に

強制移住させられた時に14歳となります。

家族は11人でしたが、戦争マラリアによって、

両親、兄弟、祖父母、合わせて9人を失い、

戦後は唯一生き残った4歳年下の妹と2人で生きてきました。

大矢さんは、そんな体験をした孝子さんの家に

住み込みました。

  

つづく

 

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