「独ソ戦」② 「大祖国戦争」 報復感情を正当化
今日は令和2年3月11日。
昨日「次の記事に書きます」としたのに、
書かなかったことです。
「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」(大木毅著/岩波新書)より
引用していきます。
独ソ戦で「絶滅戦争」を目指したヒトラーに対して、
ソヴィエト側はどうだったか。
そうした意図を持つ侵略者に対し、ソ連の独裁者にして、ソヴ
ィエト共産党書記長であるヨシフ・V・スターリン以下の指導
者たちは、コミュニズムとナショナリズムを融合させ、危機を
乗り越えようとした。かつてナポレオンの侵略をしりぞけた
1812年の「祖国戦争」になぞらえ、この戦いを、ファシス
トの侵略者を撃退し、ロシアを守るための「大祖国戦争」であ
ると規定したのだ。
これは、対独戦は道徳的・倫理的に許されない敵を滅ぼす聖戦
であるとの認識を民衆レベルまで広めると同時に、ドイツ側が
住民虐殺などの犯罪行為を繰り返したことと相俟(あいま)っ
て、報復感情を正当化した。戦時中、対独宣伝に従事していた
ソ連の作家イリア・エレンブルグは、1942年に、ソ連軍の
機関紙『赤い星』に激烈な筆致で書いている。
ドイツ軍は人間ではない。いまや「ドイツの」という言葉は、
もっとも恐ろしい罵(ののし)りの言葉となった。(中略)
もし、あなたがドイツ軍を殺さなければ、ドイツ軍はあなたを
殺すだろう。ドイツ軍はあなたの家族を連れ去り、呪われたド
イツで責めさいなむだろう。(中略)もし、あなたがドイツ人
一人を殺したら、つぎの一人を殺せ。ドイツ人の死体にまさる
楽しみはないのだ。
このような扇動を受けて、ソ連軍の戦時国際法を無視した行動
もエスカレートしていった。両軍の残虐行為は、合わせ鏡に憎
悪を映したかのように拡大され、現代の野蛮ともいうべき凄惨
な様相を呈していったのである。
(ⅴ~ⅵp)
ある程度戦って、和平交渉をするような戦争ではありませんで
した。相手を同じ人間として扱わない、やったらやり返す終わ
らない戦争になっていきました。
独ソ戦争は、ソヴィエト軍がベルリンを陥落させるまで続きます。
そのあらましが読めてしまう本です。
人の命が何と軽い戦争だったのでしょう。
43pにソヴィエト軍の戦車の名前が出てきます。
「新型のT-34戦車」
この戦車が登場する映画を見ました。
2018年のロシア映画「T-34 ナチスが恐れた最強戦車」です。
この映画は、独ソ戦争開戦前の出来事をもとに映画化していました。
今年公開されている映画「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」は、
まさに独ソ戦争最中の映画のようです。
レンタルが始まったら、見てみたいです。
こんな悲惨な戦争をどう描いているのか。
もう1本気になる映画がありました。
フィンランドとソヴィエトとの戦いを描いた映画です。
※ここでも道草 「フィンランドの教育」③ ロシアとの国境線がヨーロッパでは一番長い(2020年2月14日投稿)
今回の本にも出てきましたが、☝この記事でも触れた
「冬戦争」「継続戦争」です。
映画の名前は「アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場」
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