「立川談志を聴け」① 落語家の口調を写した速記本
今日は令和2年2月4日。
今度読んだのはこの本です。
「立川談志を聴け」(山本益博著/小学館文庫プレジデントセレクト)
引用していきます。
落語は口伝による伝承芸だから、音楽の楽譜に当たるような定
型の記録はない。師匠から弟子へ、先輩から後輩の落語家へ噺
が伝わるとき、教わる側に一切の裁量がまかされている。
そこで噺の骨子は忠実に伝わりながらも、そこに何らかの新し
い工夫なり省略なりが加わることとなる。これが落語という話
芸の最大の魅力でもあるのだ。
いまでは音声、映像による記録が容易に可能だが、それが出来
なかった明治の時代には、落語家の口調をそのまま写しとる速
記という形式が生まれた。この速記本のおかげで、明治・大正
の落語家の高座での噺の運びがかなり正確に知ることが出来る
のである。
(46p)
なるほどです。
レコードに録音できたのが明治12年。
※参考:ここでも道草 日めくりより/日本で最初にレコーディングした人物(2020年1月26日投稿)
明治時代に録音はそんなには普及しなかったことでしょう。
速記本を作成した人はすごいなあ。
落語ファンなら読みたかったでしょうね。
そして後の時代の人にはとても参考になります。
これはもう芝居であって、しゃべくりの舌耕芸ではない。映像
時代に対応し、噺の世界に演劇的リアリティを持ち込んだ、志
ん朝の独創的話芸といってよい。五代目圓生の高座が、上半身
の動きを最小限に抑え、すべては台詞優先で噺を聞かせようと
する舌耕芸の伝統にのっとった型であるのに対し、志ん朝のそ
れは、昔だったら邪道といわれかねないほどに噺を見せること
に重点を置いている。志ん朝の落語は、この芝居の所作を抜き
にしては成り立たない高座で、しかも、それを正統派のように
感じさせてしまうところが、志ん朝の芸の凄さなのではなかっ
たか。
(50p)
「志ん朝」というのは3代目古今亭志ん朝(1938~2001年)
大河ドラマ「いだてん」で準主役だった5代目古今亭志ん生の次男。
こういう見方があるのですね。
なるほどです。
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