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2020年2月 2日 (日)

「君が地球を守る必要は・・・」③ 1952年12月5日ロンドン

 

今日は令和2年2月2日。

2月3つ並ぶ日です。

2月22日は4つ並ぶんだ。

  

前々日の記事の続きで、

君が地球を守る必要はありません

(武田邦彦著/河出書房新社)より

引用していきます。

  

長い引用ですが、歴史的な事件を書き留めておきます。

  

1952年12月5日。その日もいつもの冬の朝と同じように

始まり、朝、まだ暗いうちから家々では石炭をくべ始めた。そ

の頃のロンドンではほとんどの家に暖炉があり、そこに石炭を

くべていた。だから、暖炉を使い始めると煙突から煤煙(ばい

えん)が出たものである。

また、運の悪いことに、ロンドン市の交通局は、開発されたば

かりのディーゼル・バスの運転を始めたところだった。朝のラ

ッシュ時を控えてバスも一斉に排気ガスを出した。かくして、

朝の出勤時間になると、市民が家の外に出て何となく異変に気

がついた。むせるような気がしたし、堰も出た。でも、それが

何なのか、何が身の回りに起こっているのかハッキリわからな

いまま出勤した。

やがて、朝の10時になり、映画館が開かれる頃になると、ス

モッグが全市を覆い、濃いスモッグが映画館の中にも侵入した。

記録によると、映画の始まりを告げるベルがけたたましく鳴っ

ても、客席からスクリーンが曇って見えにくかったという。客

席とスクリーンの間に空気がすっきりスモッグで曇ってしまっ

たのだ。

昼頃になると、患者が病院に運ばれるようになり、さらに夕刻

には「スモッグがひどく危険な状態にある」ということが分か

ってきた。

その日から4日目、ロンドンにはスモッグが立ちこめ、実に「

推定」で4000人ほどが死亡した。推定というのは、直接的

に気管や気管支の病気で7亡くなった人もいるが、そのほかに

も体力を失って別の病気で死んだ人もいる。だからこのような

時には、この期間にどのぐらいの人が死んだかという数から「

普通の12月のこの時期に亡くなる人」の数を引いて計算する

から推定になる。

でもどうして、ロンドンなんかで、こんなひどいスモッグが起

こったのだろうか?

ロンドンスモッグの直接的な原因は、亜硫酸ガスで、その亜硫

酸ガスがロンドン市内を覆ったからだったkれど、なぜ、亜硫

酸ガスがその日に限ってロンドンを覆ったのかというと、北海

の方から移動してきた寒気団が原因していた。

事件が起こる少し前、イギリスの東北に面した海、北海にあっ

た冷たい寒気団が気圧配置の関係でロンドン上空に移動してき

た。その寒気団の気温はとても低く、それがロンドン上空にき

て止まった。そうなると上空に冷たい重い空気が居座るので、

気流の逆転現象が起こる。

ロンドンスモッグの悲劇はまさにそれが原因していて、暖炉の

煙突やバスの排ガスの亜硫酸ガスは、一度、空に昇ったものの、

逆転層にはね返されて、人間が生活している地表に下降してき

たのである。

人類は長い歴史を持っているけれど、このロンドンスモッグ事

件が起こるまで、人間がしたことで環境が汚れ、それで大量の

犠牲者を出すなどということは無かった。今では信じられない

話だけれど、「まさか人間が出すなにかのものが、自然に影響

をあたえるはすがない」と思っていたのだ。事件が起こり、バ

タバタと人が死んでいっても、空気が汚れたのが原因だとは気

が付かなかった。

結局、このロンドンスモッグは、人間がその原因に気が付いて

対策をとったのではなく、北海の寒気団が数日後にロンドンの

上空から移動して終わった。

(130~132p)

  

※Gigazine 史上最悪規模の犠牲者を出した公害「ロンドンスモッグ」とは?

☝ ここで詳しく知ることができました。

このサイトでも使っているグラフも分かりやすいです。

4   

霧で霞むロンドンの写真を探しました。

5 サイエンス365days

 

これも社会科教師のネタとしてストックしました。

  

つづく

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