対×談 福岡伸一・ブレンディみかこ 2/4
今日は令和2年1月2日。
前投稿の続きで、
1月1日朝日新聞朝刊の対談を書き写します。
福岡:ここ数年、日本ではやった「忖度(そんたく)」という
言葉とは対照的ですね。相手の心を想像するのはエンパシ
ーと同じでも、忖度は自分の身を守るためだけの利己的な
行為と感じます。
ブレンディ:そうですね。忖度は、自分の利益のために行う防
御的な行為なのでしょう。日本社会に独特の同調圧力の強
さにも関係しているような気がします。「共感」という言
葉も日本で最近聴きますが、要するに「いいねボタン」で
すよね。
福岡:同調圧力というと、思い出す瞬間があります。研究者を
志して20代後半でニューヨークへ行き、職場に向かう朝、
深く楽に呼吸している自分に初めて気づいた経験です。日
本では、見えない同調圧力に知らず知らず雁字がらめだっ
たんだ、と。
ブレンディ:わかります。私も19歳で初めて英国に旅して、
小さなことだけど、誰もが気にせず自分が好きな服を自由
に着ていて、「私も私自身でいられる!」と。それだけで
すごい解放感でした。
福岡:「銃・病原菌・鉄」や「文明崩壊」などの本で知られる
ジャレッド・ダイヤモンド博士と話したとき、こう言って
いました。どの民族にも例えば「殺すな、盗むな、うそを
つくな」という戒めは共通してあるけれど、「他人に迷惑
をかけるな」という戒めを重視する民族は日本人だけであ
る、と。
ブレンディ:へえー、面白いですね。「迷惑をかけない」とい
う気持ちは、日本人の場合は、行為だけでなく服装などに
も及びますね。人を不快にさせない、集団から目立たない、
といった理由で身なりをきちんとするわけで。
福岡:誰もが日本語が分かって当然という均質な社会なので、
言外の意味を忖度したり、空気を読むという圧力が生じて
しまう。米国では、違う文化で生まれ育った人々がプアな
英語で意思疎通しているため、言葉で表現したこと以外に
気を回す余裕はなし、それを求められもしない。自分自身
や自国の文化を相対化する環境に身を置く経験は貴重です
ね。
ブレンディ:「身を置く」っていい言葉。私は、エンパシーを
働かせるためには土壌がいると思うんです。それは街で異
なる人たちと実際に関わること。それが他者を想像すると
きの土台になる。ツイッターで頭の中だけの議論をするの
はやめて、街に出ようよって思う。
「見えない同調圧力」は、日本以外の場所に行くと感じるのですね。
しばらくは海外に行く予定のない私としては、
日本に居ながらにして「同調圧力」を認識して、
その圧力から解放された気持ちのよさを味わう方法をしりたい。
やりたいと思ったことを、人の目を気にせずにやればいいのかな。
「身を置く」
やはり今年は出かけましょう。
出かけて行って、知らなかった人たちの中に「身を置きましょう」
それは遠くに行くとは限らず、近くの人たちの中ででもです。
知ってるつもりの身近な人はたくさんいます。
そうすれば、無知にならず、同調圧力からも解放されるのでは。
今年の目標の「押しを強くする」は日々心に浮上させたいです。
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