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2019年12月16日 (月)

「インビクタス」④生きているうちに確認できたのがよかった

 

今日は令和元年12月16日。

  

前投稿に引き続き、「インビクタス 負けざる者たち

(ジョン・カーリン著/八坂ありさ訳/NHK出版)より

引用していきます。たくさん書き留めたい文章がありますが、

他にもやりたいことがあるので厳選します。

194p以降は、映画化されたところなので、

映像を思い浮かべながら読みました。

 

W杯決勝戦の朝のことです。

 

選手たちは耐えがたい緊張とプレッシャーと周囲の期待を感じ

ながら、朝食をとった。大きなシャボン玉に閉じ込められて、

宙に浮いているような気がしていた。離陸直前の宇宙飛行士の

ような気分、と言ってもいい。なにかで発散させなければ爆発

しそうだったので、キャプテンを先頭に、全員で体をほぐすこ

とにした。ロビーに集まり、ピナールのあとについてホテル周

辺を2キロほど走った。フランソワ(・ピナール)はそのとき

のことをこう語っている。

「みんなすごく神経質になっていました。ひとかたまりになっ

て走っていたんですが、ホテルを出て左に曲がったところで、

うしろからワアワアという声が聞こえてきた。新聞売りの黒人

の子どもが4人、ぼくたちに気づいて追いかけてきたらしく、

4人はぼくたちの名前を呼び始めましたーーほとんどの選手を

知っていたんです。ゾクゾクしました。字が読めるかどうかも

わからない小さな子が、ぼくたちのことをちゃんと知ってた。

あの子たちにとってスプリングボクスは自分のチームだったん

です。そのときでしたね。ほんとうに実感したのは。これはぼ

くたちの想像をはるかに超えた、すごいことなんだって」 

(259p) 

 

映画でこのシーンはあったのか覚えありません。

でも本を読んだ時には、グッときたシーンです。

南アフリカは決勝戦の朝、すでにすごいことになっていました。

  

W杯決勝戦で、スプリングボクスが延長で

オールブラックスを破って優勝!

1995年6月24日のことでした。

  

「あの日わたしたちが目にしたのは、革命です。」ツツ(大主

教)はうれしかった。自分の国が革命の新たな型をつくり出し

たのを、生きているうちに確認できたからだ。敵は排除されず、

囲いのなかに迎えられた。国民は分離するかわりに、そこでひ

とつになった。「1年、いや数か月まえでも、『スプリングボ

クスの勝利を祝って、ソウェトの住民が踊りだす』なんて言っ

たら、たいていの人に『南アフリカの太陽にあたりすぎて、頭

がおかしくなったんじゃないか』と笑われたにちがいありませ

ん」とツツ。「あの試合が国民のためにしたことを、政治家や

大主教が演説をもってしようとしてもできはしないでしょう。

わたしたちはあの試合に刺激を受け、同じ側に立つことは可能

なのだと気づきました。この国はひとつになれると、教えられ

たのです。」

(302p)

   

この本は、著者がたくさんの関係者から聴いた話を積み上げて

できあがったものです。この話もいいです。

1995年の南アフリカでは奇跡が起きていたのですね。

当時、中学校で社会科教師をやっていたのに、

全くアンテナにひっかかっていませんでした。

この本の引用、ここまで。

いい勉強ができました。

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