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2019年11月19日 (火)

「燃える海山」①/浩次郎が志願して「回天」に搭乗

 

今日は令和元年11月19日。  

  

昨日、「燃える海山 新十津川物語8

(川村たかし著/偕成社)を読み終えました。

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全10巻の「新十津川物語」の8巻目です。

  

図書館に返却する本なので、手元に残しておきたい文章は

いつものように書き留めておこうと思います。 

山口県の大津島に、主人公のフキの孫、中崎浩次郎が赴任します。

そこは新兵器「回天」の秘密基地でした。

浩次郎は志願しての赴任でした。

  

「よし。わたしは当隊指揮官、坂倉少佐である。貴様たちは

きょうこれから、おれの部下になる。数千人の中からえらび

ぬかれた精鋭ときくが、いままでの教育隊とちがって、

実施部隊、戦闘部隊である。なにごとにも、いのちがけで

立ち向かうように。」

浩次郎はわけもなく、小さくふるえた。すぐそばに死がある

という実感だった。司令のことばがさりげないだけに、

ぎくっとするような重みがあった。いままでことばの上で

わかってはいたものの、死ぬということはまだ自分のそばには

きていなかった。だが、ここにはもう足もとに生と死の

別れ道がある。

(38p) 

  

フキの家族が「回天」にかかわります。人間魚雷の「回天」。

それにかかわった人たちは「死」をどう感じたのでしょうか。

川村さんはここで「すぐそばに死がある」と表現しました。

少佐の話の続きです。☟

  

「貴様たちには、この兵器にのってもらう。回天という。

いまは機密保持のために『丸六』といっているが、

いうまでもなく人間魚雷だ」  

少佐はあたりを見まわした。

「数日まえ、これをつくりだしたひとり、黒木大尉

(だいい/海軍では、とくにダイイとよんだ)が訓練中殉職した。

わらわれは黒木のしかばねをこえてゆかねばならん。

当隊はまだ発足したばかりだが、海軍首脳部の回天によせる

期待は絶大である。回天、すなわち天をめぐらす起死回生の兵器、

戦いの流れをかえるという意味を考えれば、貴様らは日本の

苦境を打開する尖兵(せんぺい)である。」

(39p)

  

「回天」がなぜ生まれたかが語られています。

もう少し「回天」の説明部分を引用します。

  


人間魚雷回天が試作されたのは、昭和19年2月に、日本軍の

敗戦がほぼ確実になってからである。潜水学校を卒業した

黒木博司と仁科関夫のふたりの士官の発案である。

巡洋艦から発射される九三(きゅうさん)式魚雷を改造した

もので、頭部に1.55トンの火薬をつめ、人が操縦する。

ただし、帰還することははじめから考えられていなので、

中からハッチをひらくこともできない。いちど発射してしまえば、

生きて還えることは万に一つもないしくみになっていた。

(40p)

  

中からハッチをひらくことができないのは、ショックでした。

狭い空間に閉じ込めあっれて、自分では出られない状況は、

計り知れない恐怖だった思います。

  

「回天」と言えば、小説「出口のない海」(横山秀夫著/講談社)が

忘れれられません。実際に自分が「回天」を操縦しているかのように

思わせる小説でした。

残念ながら映画は、そこまで表現できませんでした。

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小説「出口のない海」をこれを機会に再読してみようかな。

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