「吹雪く大地」③/次の8巻を読むのが楽しみです
今日は令和元年11月3日。
前投稿に引き続き、「吹雪く大地 ~新十津川物語7~」
(川村たかし著/偕成社)より引用。
その夜、植西が持ってきたのは子羊の肉だった。
あいは思わず声をあげた。
「まあ、おいしい」
「ほんとだ。羊はくさいものときめつけていたけど、
こいつはうまいの。」
フキも思わず、はしをだした。
植西はなにか考えこんでいたが、
「おれも、友だちの家でごちそうになって、びっくりしちゃったんだ。
羊は穴掘ってうめるだけだったろ。
料理のしかたでは食えそうな気がするんだな。」
「そうだね。こいつはいけるとも。」
めったになく照吉もすなおだった。
父が元気なのがうれしくて、今朝男はぱくぱく食べた。
あすからカラフトへいくことも胸をはずませる。
父はきっと母をさがしてくるにちがいなかった。
「ほんと、うまいね。羊って食えたんだね。」
植西はまたおなじことをいった。
この日のできごとが、のちに彼の人生を大きくかえることになる。
(204p)
植西耕治の人生がどう変わったかは、
7巻の中では語られませんでした。
北海道で羊の肉ときたら、きっとジンギスカンですよね。
8巻以後が楽しみです。
巻末の「解説」
松田司郎さんの文章を引用します。共感しました。
本巻には豊太郎も恭之助もいない。
男のもつ淋しさ、大きさを象徴し、
母性としてもフキに対峙していた恭之助が、
前巻で姿を消したのはなんとしても残念である。
ときとしてフキを温かく見守りすぎたきらいはなくもないが、
フキがすばらしいだけに、物語世界の均衡上、
ひじょうに重要な存在であったのだ。
しかし、本巻にも恭之助のおもかげをしのばせる
小野田のチャンが登場する。
物語は流転するのが宿命である。
さて、飢えと死のにおいのする第8巻以降には、
どういう人びとがフキの胸にとびこんでくるのか。
待ちどおしいものである。
(286p)
恭之助ファンだったので、6巻で亡くなったのは私も残念でした。
8巻「燃える海山」が楽しみです。
図書館に予約しよう。
コメント