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2019年11月 8日 (金)

「温暖化」をどう考えるか④/理念主導では世の中は簡単に変わらない

 

今日は令和元年11月8日。

    

前記事の続きで、

異常気象と人類の選択」(江守正多著/角川SSC新書)から

引用します。2013年9月刊行の本です。

  

  

まず、気温上昇が「2℃」を超えたら本当にいけないのでしょうか。

温暖化の影響については、僕は多くの専門家の方々と共同で

『地球温暖化はどれくらい「怖い」か?』(技術評論社)という

本になるべく書きましたので、詳しくはそちらをご覧ください。

温暖化の悪影響として心配されていることには、

熱波や大雨などのいわゆる異常気象の増加、海面上昇、

地域によっては水不足、農業への悪影響、

これらによる人の健康への悪影響、

野生生物種の絶滅が加速することなど、

さまざまなものがあります。

寒冷地での健康や農業など、地域や分野によっては、

よい影響もあるでしょう。

しかし、全体的には悪影響がよい影響を凌駕するという認識で、

話を進めます。

(132p)  

  

今年の台風15号、19号の被害を見ると、

さらなる気温上昇は、悪影響が心配されます。

 

  

化石燃料を使いながらも、二酸化炭素を大気中に

排出しないための技術が重要な意味を持ってきます。

それが、炭素回収貯留(CCS)と呼ばれる技術です。

つまり、化石燃料を燃やした際に発生する二酸化炭素を、

地下の帯水層などに注入して封じ込めるというものです。

(138p)

  

そうかこういう発想もあるのですね。

しかし、課題は多いです。

  

  

産業構造の変化なんていうものは、新技術の出現、

少子高齢化、新興国の台頭などによって、

放っておいても起こるでしょう。

特に、新技術の出現は誰も予想していなかったような

速さで社会を大きく変えしまうことがあります。

いわば、技術イノベーションがもたらす社会イノベーション、

あるいはその両者の相乗効果です。

そして、その場合は既得権益を持った人が抵抗しようとしても

その流れを押しとどめることはできません。

(デジカメの出現で仕事がなくなった写真屋さんは、

きっと抵抗のしようがなかったことでしょう)

先ほど触れたスマートグリッドや再生可能エネルギーの

大量導入も、予期せぬ技術開発の成功によって、

技術主導であっというまに進む可能性も、

なくはありません。しかし、逆に、そのような技術主導の

変化が起こらなかった場合に、「社会はこうあるべきだ」という

「理念」の主導でそのような変化を起こすのは、

たいへんなことだろうと思います。

(143~144p)

 

デジカメの例えはすごくわかりやすいです。

  

産業革命は技術主導で起ったため、

機械に仕事を奪われた労働者がどんなに抵抗しても

その流れに抗(あらが)うことはできなかったでしょう。

一方、共産主義革命は理念主導の革命でした。

世界規模で大きな権力闘争と対立を何十年にも

わたって引き起こした末に、世界的に見るとその失敗が

証明されたといっていいでしょう。

これにならえば、「環境革命」「エネルギー革命」の場合も、

予期せぬ技術イノベーションがあれば不可避的に進むことが

ありえるでしょうが、理念主導ではこれを成就させることは、

なかなか難しいと覚悟しておくべきだと僕は思います。

(144p)

  

なるほどです。

こういう世の中にすべきという理念だけでは、

それが良かれと思っても、世の中は変わらない可能性が高いのです。

  

  

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