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2019年10月29日 (火)

「雪虫の飛ぶ日」⑥/函館大火

 

今日は令和元年10月29日。

  

雪虫の飛ぶ日 新十津川物語6

(川村たかし著/偕成社)からの引用です。

  

この本のラストは、昭和9年(1934年)3月21日の

函館大火です。

 

引用します。

   

焼けた家はなんと2万4186戸。死者2054人。

ゆくえ不明662人。重軽傷者12600人。

 

この火のおぞましさは、わずか3時間に2万戸の家を

焼きつくした速さにある。

東海岸の人びとはこのために海中ににげ、高波にさらわれた。

ゆくえのわからない人たちは、ほとんど波にもっていかれたのだ。

 

浜をつたって東へ東へとにげた者は、火に追われる形になった。

そのうえ、大森橋もその東の新川橋も古い木橋だった。

橋は人の重みでくずれおちた。

川の手まえで追いつめられた群衆は、

荷物とともに焼けて死んだ。

海水も零下12,13度だったから、おおぜいが凍死した。

 

勇敢な話もうわさにのぼった。

図書館長は、地下の鉄扉に一晩じゅうバケツの水をかけつづけて、

松前藩以来の貴重な資料を守った。

市役所のふたりは800冊もの戸籍簿を、安全なところへうつした。

電池室を死守した電話局の職員、

人を助けて殉職した警官や消防士・・・。

 

だが、夜明けの焼けあとはむごたらしかった。

焼けこげてぼろぼろの服を着た人が、さまよい歩く。

人の焼けるいやなにおいが、どこへいってもついてまわった。

泣き声とうめき声がたちこめていた。

(254p)

  

 

小説で、歴史的な出来事を知りました。

出合ったことにはこだわりたい。

この本が読んでみたくなりました。

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2017年刊行で、新しい本であることが魅力。

図書館に置いていないのが残念。

買って読むか迷っています。

でもきっと好奇心に負けます。

  

 

副主人公的な恭之助が死んだのは最後の270p。

 

ーーーフウちゃん、あやちゃん、あい・・・・・。

くちびるがうごいたように見えた。

3人がとりすがったとき、恭之助は大きな深呼吸を

ひとつのこして、あとはもう息がなかった。

87歳だった。

  

  

 

こうやって本を読破できて、いつか読み返したい文章を

ブログに引用できました。贅沢させていただいています。

最後にこの本で一番気に入ったカットを載せます。

Epson118 絵:鴇田幹 「宝引き(たからびき)」 155p

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