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2019年8月 1日 (木)

「私何だか死なないような気がするんですよ」その3/一歩前に踏み出すのです

 

今日は令和元年8月1日。

  

前投稿に引き続き、

私何だか死なないような気がするんですよ」

(宇野千代著/海竜社)から引用します。

何度も書きますが、98歳の方が書いたエッセイです。

  

 

仕事は私の生命の源です。

ささやかでも仕事を続けることは、

世間とのつながりを持つということになる。

人と人とのつながりをもたらす喜びは、

老年の私の生命力を引き出してくれるのです。

(83p)

  

毎日誰かが読んでくれているブログをうつことは、

私には大事な仕事です。

元気をもらえる仕事です。

  

  

好き勝手に生きて来たように見える私ですが、

私なりに生きるための方策というものはあったと思われます。

方策とは何でしょうか。

いやなことは何ごとも忘れると言う私の特技を生かしたのです。

何がおこってもすぐに私は忘れる。

いや意識して忘れようとするのではない。

一歩前に踏み出すのです。

一歩踏み出すことによって、新しい世界はひらけました。

すべての行動は愉しいものになったのです。

(91p)

   

一歩前に踏み出す」は強く印象に残りました。

案外、これがいやなことを忘れるいい方法かもしれません。

  

  

年になったのだからもう死ぬなどと考えたこともありません。

死んだ後のことは、死んでから考えればよいと思っています。

(91~92p)

  

格好いいなあ。

  

 

自分の気に入った表情のまま、死ぬ事が出来ることが

私の何よりの願望です。

(100p)

  

なるほど。この発想はいい。

 

 

ほんとうの親孝行とは上げ膳、すえ膳で

親の面倒をみることではありません。

本当に、あなたがお母さんを長生きさせたいと思っているなら、

どうか、次の事を忘れないで下さい。

この家にとって、彼女は一時も欠かせない有用な人間である、

と思い込ませるようにして下さい。

お母さんは、どんなにか溌溂として、

生き生きと生き長らえることでしょうか。

あなたの老いたお母さんには、

それが唯一無二の長生きの方法であることを、

あなたはしっかりと思いとめて下さい。

(103p)

   

親の介護をしている身に、印象深い言葉です。

 

 

私が長生きしたかったのは、若い時には書けなかったことを、

ゆっくり生きて、心ゆくまで書きたいと思っていたからなのです。

時間がなくっちゃ、よい仕事はできませんもの。

(106p)

  

最近、ブログを更新するペースが上がっています。

ずっとこうやって書きたいと思ったことを

実行している感じです。

仕事を休んでいる時に申し訳ないと思いつつも、

こうやってうつことで心が元気になっていくのです。

 

10年ほど前のことであったか。

古い友達の瀬良正太郎さんから、或るとき、

京都の大徳寺の尾関宗園の作である

「長寿十則」というものが送られてきた。

その中に「九十になって迎えが来たら、

百まで待て、と追い返せ」というのがあった。

その一種ユーモラスな表現の中に、

私は多くの積極的な意思のようなもののあるのを

感じたものである。  (110p)

 

不肖ながら、私も感じました。

  

  

私はこのところ、耳がかなり遠くなった。

しかし、不思議なもので、

人々がにこにこと話している中にいると、

たとえ、聞こえなくとも、その雰囲気が伝わってきて、

私はとても、しあわせな気持ちになる。

心で見る、心で聞く、とはこのことなのだな、

と最近分かってきた。

心は伝わる。心は伝染する。

私たちは幸せだけを伝染させたいものである。

(116p)

  

再び父親を思いだします。父親は耳が遠い。

食卓で、家族が楽しい会話をしている時に

きっと内容は十分聞き取れていない父親が、

ニコニコしているのです。

「こうやって家族がそろって話すのはいいなあ」と

よくつぶやくのです。

そういう機会をこれからも増やさないといかんなあ。

  

まだつづく

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