映画と小説での「ドン・キホーテVS風車」シーン
今日は平成31年4月28日 。
最近よく書いている「ドン・キホーテ」のこと。
先日届いたDVD。
映画「ラ・マンチャの男」(1972年)です。
授業で、ドン・キホーテと風車の戦いのシーンを見せました。
そのシーンの写真です。
ドン・キホーテ役は、ピーター・オトゥール!
1932年生まれなので、映画公開時は40歳。
実際に風車からの落下も、本人が演じたのでしょうか。
参考:ここでも道草 ピーター・オトゥールさん死去のニュース(2013年12月16日投稿)
実際にセルバンテスの小説「ドン・キホーテ」では
どのように風車との戦いは描かれているのでしょうか。
「少年少女世界の名作9 ドン・キホーテ」
(ミゲール・デ・セルバンテス 作/草鹿宏 訳/集英社)より
引用します。
それから何日かたって、ドン・キホーテはゆくての丘の上に、
とつぜん数十人もの巨人が立ちはだかるのを発見し、
どぎもをぬかれた。
「みたか、サンチョ。天がわれらの望みをかなえてくれるぞ。
あの巨人どもをみな殺しにし、大地から悪の種を刈りとるのが、
神へのご奉公というものじゃ!」
サンチョは、あわてて目をこすった。
「待ってくだせえ。ありゃあ粉ひき場の風車でねえだか。」
「馬鹿をいうではない。おまえにはあの長いうでが見えぬのか。」
「うでじゃねえ、はね木でがすよ。あれが風でぶんまわって、
石うすを動かすだ。」
ドン・キホーテはぶぜんとなり、あわれむようにサンチョを見た。
「無理もない。おまえには冒険の心得がとんとないのじゃからな。
だが、あれはまぎれもない巨人だ。恐ろしければ、お祈りでも
となえるがよい。わしひとりで、きゃつらと合戦(かっせん)を
まじえてやるわ。」
サンチョがひきとめるのもきかず、ドン・キホーテは槍をふりかざし、
やせ馬にびしっとムチをくれた。
おりから強い風で風車がまわりだすと、のどもさけんばかりの
大声をはりあげて、まっしぐらに突進した。
「逃げるなひきょう者!この騎士が一気に勝ち負けをつけてくれるぞーっ。」
ドン・キホーテは、われを危難から守らせたまえと、
ドゥルシネーア姫に祈りをこめ、盾をかまえて、
いちばん手前の風車に近づくやいなや、
まっこうから槍でつきかかった。
その瞬間、槍は風車にまきこまれて、ばらばらにぶち折れ、
棒立ちになったロシナンテの背からほうりだされたドン・キホーテは、
地面にたたきつけられ、丘の上からごろごろところがり落ちた。
(28~29p)
映画のように、風車のはね木に引っかかってしまうシーンは、
小説にはありませんでした。
でも映画なら、はね木に引っかかった方が、見栄えがいいですね。
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