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2017年7月 1日 (土)

司馬遼太郎さんの生原稿の発見

 

今日は7月1日。

  

サイドバーの「教材・教具のネタ帳」からの引用。

  

  

水鉄砲  6月27日

朝日新聞社に在職当時、司馬遼太郎さんの原稿を

一度だけ目にしたことがある。

当時、親しくしていた司馬さんの担当記者から

「これが生原稿ですよ」といって見せてもらったのだ。

驚いた。最初の原稿は10行、200字分の用紙に3行から4行分。

それがフェルトペンで何度も修正されていた。

ペンの色は赤、青、茶色。たしか緑もあったように記憶している。

少なくとも3度、場合によっては4度、

自身の原稿に手を入れられた痕跡である。

「最初の原稿は3行、60字でも、手が入った後で整理すると、

大体200字になるんです」と担当者から聞かされ、また驚いた。

これぞ名人芸、と感動したことを覚えている。

思うに、第一稿は当初の構想に従って一気に書き上げる。

その後、いったん頭を冷やして原稿を見直し、言葉の適否、

表現方法などを丁寧に推敲(すいこう)する。

その苦闘を物語るのが色の異なるフェルトペンの跡である。

先日、司馬さんの代表作の一つ「竜馬がゆく」の最終回と

「坂の上の雲」第1回の自筆原稿が見つかった。

本紙や全国紙が伝える写真で推敲の跡も生々しいその原稿を見て、

思わず当時のことを思い出した。

こういう身を削る作業を通じて、読者を感動させ、

その生き方にも影響を与える作品が生まれる。

その一言一句が胸に突き刺さる。

昨今、政治家や高級官僚が保身のためにまき散らしている

薄っぺらな言葉とは、対極にある。

201706271239346d0

原典:紀伊民報

  

  

  

中日春秋 6月25日

「天が、この国の歴史の混乱を収拾するためにこの若者を地上にくだし、

その使命がおわったとき惜しげもなく天へ召しかえした」。

若者とは坂本龍馬。

司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』の最終回。

近江屋で龍馬が刃(やいば)にたおれる場面である。

「惜しげもなく天へ召しかえした」の部分。

最近見つかった自筆原稿によると当初は「惜しむように」だった。

線で消し「惜しげもなく」と修正している。

読み返す。やはり、この部分、「惜しげもなく」でなければならぬ。

そう思う。三十一歳での龍馬の死は早い。惜しいと書きたくなる。

されどである。大政奉還、薩長同盟。龍馬の大仕事に

天が心から満足し「よくやった」と考えるのなら

「惜しげもなく」の方がぴたりとくる。

それは精いっぱい生きたと同じ意味であるまいか。

小林麻央さんが亡くなった。

病床にあってもそのブログには同じ病の人への

慰めや励ましの言葉があふれていた。

誰かのためにの大仕事を最後まで続けていた。

この人にも「惜しむように」が似合わぬか。

そのときを迎えても「可哀想(かわいそう)に」とは思われたくない。

そう書いていた。病気が「私の人生を代表する出来事ではないから」

かなえた夢、出会い、家族との生活。

それこそが人生を代表する出来事。

だとすれば、お別れは「可哀想」とか「惜しい」よりも

「精いっぱい生きた」の方がふさわしかろう。

原典:中日新聞

  

  

司馬遼太郎さんの言葉はこうやって生み出されていたのかと知って、

再び読んでみたくなりました。

小林麻央さんから学んだことは、ブログの力です。

自宅でうった、校正も印刷もしない文章がもつ力です。

リアルタイムに目にすることができる文章の力です。

  

こうやって継続してきたブログが、

読んでくれている人や書いている自分に対して

どのような影響があるのか。

小林麻央さんのブログは、ブログを書いている人に

ブログの可能性を予感させてくれます。

KOKORO 小林麻央のオフィシャルブログ

コメント

私も中日春秋、この日の新聞を朝目にし読みました。龍馬にふさわしい歴史考証に思えた。

コメントをありがとうございます。
生原稿を見ることで、
作者の葛藤がわかっていいです。
パソコンで作り上げたら
見ることができない過程ですね。
  
この場を借りて事務連絡。
すみません、明日のサークルですが、
高校野球の応援に行くことになり
急きょお休みです。
申し訳ありません。

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