「ハートネットTV 緊急特集 障害者施設殺傷事件」より その3
今日は10月9日。
10月1日の投稿に引き続き、
8月8日放映の「ハートネットTV 緊急特集 障害者施設殺傷事件」
は、書きとめておきたい言葉を聞き書きします。
スタジオには4人がいます。
山田賢治キャスター
久保純子アナウンサー
ゲスト:海老原宏美さん(自立生活センター東大和代表)
ゲスト:荻上チキさん(評論家 ニュースサイト編集長)
山田:ネット上ではなくて、実際に偏見の声を聞いたという
書き込みを届いているんですね。
久保:よんプリママさんは群馬県の40代の方です。
「重度の知的障害を持つ自閉症の子どもを育てています。
今日、子どもと一緒に出かけました。
たまたま隣にいたご高齢の女性3人の会話が事件の内容でした。
『障害者施設って、国がお金を出して作ってるのよね?
世の中の役に立たない人にお金を使ってもねえ。
容疑者が言っているように、親が認めれば、
”安楽死”って案外間違っていないわよね。
何かしらの理由で子どもが亡くなって、
親御さんもホッとしてるんじゃないの。」
耳を疑いました。
確かに障害のある子どもは手がかかって大変で疲れます。
だからといって、自分の子どもがある日突然殺されて
ホッとする親なんていません。
障害者の命は健常者よりも軽いんですか?
命に違いがあるのですか? 」
本当にこの書き込みは、どんな思いでお母さんが
書いてくださったかと思うと、本当に苦しいんですよね。
山田:言葉を聞いて、どんなに辛かったのか・・・
海老原さん、どう感じます?
海老原:あの、私も、この重度の障害とともに、
ずっと生きてきて、今、地域での自立生活、一人暮らしを15年
しているんですけど、やはり、あんな重度の障害者に
たくさん税金をかけてヘルパーをいっぱい使わせて、
どうなの?という批判はたくさん、たくさんかな?
今までもあったんですね。
お金がかかるだけじゃないのというような意見も受けてきました。
ただ、障害があるなしに関わらず、人っていうのは、
お金もかかって、手もかかる赤ちゃんの状態から生まれて、
生きて、大人になって、最後はまたお金も手もかかる
老人になって死んで行くわけですよね。
人の手をわずらわせるっていう感覚っていうのは、
障害があるなしに関わらず、全ての人が生きている間は、
同じじゃないかなってすごく思うのが一つと、
障害を持っていても、その地域で生活をしている中で、
たとえば医療が、障害を研究する中で、医療が発達したりだとか、
ロボットの開発に結び付いたりだとか、
あとは、ITが進んだりだとか、ていうふうに、
社会に還元できるものがたくさんあるはずなんですね。
だけれども、障害者に手がかかるお金がかかると、
そういうところばかりが、クローズアップされて、
自分たちが果たしている役割に
気づいてもらう機会がないというのが、寂しいですね。(中略)
荻上:ネットの書き込みでも、匿名だけではなくて、
実名で顔を出して、書き込みをされている人のなかにもですね、
容疑者に共感する書き込みをしている方が、
少なからずいるわけですよ。
こういうふうに、この世の中には、
いなくなってもいい命の選別をした上で、
命というのは殺してもいいんだという思想のことを、
いわゆる『優生思想』って言われたりしますよね。
こういった思想がですね、今回容疑者のメッセージに
共感する形でネットに書き込み、ネット上の書き込みを見た人が、
さらにそれを読んで、学習をして、なるほどそういった考え方は
確かにある、もっともだと誤解が広がることが心配ですね。
だからこそ、まずは、メディアはしっかり、
そうであってはならないというようなことを
しっかり報じるということが、大事かと思います。
また優生思想というのは、身近に当事者がいて、
そうした当事者と友人なり家族になり、
そうした人たちと支え合うという状況が生まれれば、
だんだんと緩和されるという状況もあります。
なので、どのような障害がある方も、
地域でしっかりとみんなと一緒に暮らしていく社会をつくる、
そういった力強い社会をつくっていくというのが、
とにかく大事なんだということを思いますね。
久保アナウンサーは、最後は涙声で、書き込みを紹介していました。
海老原さんが言うように、老人はお金と手間がかかります。
全員が同じなんです。
荻上さんの、この発言が印象に残りました。
「ネット上の書き込みを見た人が、さらにそれを読んで、
学習をして、なるほどそういった考え方は
確かにある、もっともだと誤解が広がることが心配ですね。」
メディアは、いろいろな考え方があることを
紹介するだけではいけない。
いけないことはいけないんだと言っていかなければならない。
そんなメディアの責任について、
荻上さんはこの番組で、何度か言っています。賛成です。
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