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2016年8月11日 (木)

「きのこ雲の下で何が起きていたのか」その3/河内光子さんの証言

 

今日は8月11日。

  

前投稿に引き続き、昨年の8月6日放映の

「NHKスペシャル きのこ雲の下で何が起きていたのか」

の聞き書きをしていきます。

  

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ナレーター:髪の毛はひどく縮れて、ボサボサになっています。

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  服は破け、肌は剥(む)き出しです。

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  人々の多くは裸足。

  着の身着のままで逃げてきたことがうかがえます。

  2枚の写真を並べてみると、

  同じ人物が写っていることに気づきました。

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  セーラー服を着た女性です。

  左腕は服が破れ、血がにじんでいます。

  手は傷ついているようにも見えます。

    

  取材を続けると、この女性が今も健在であることがわかりました。

  河内光子(こうちみつこ)さん。83歳です。

  

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  当時、広島女子高等学校の2年生。

  同級生と映画やおしゃれの話をするのが大好きな13歳でした。

   

  写っているのが自分だとわかった理由は、

  セーラー服の三角襟(えり)。

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  山口県に住むいとこからもらったものでした。

  背中にはけがを負っていました。

  

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河内さん:こうやったら(服を手で払ったら)、

  ガラスがいっぱい、みんなついているんです。破片が。

  血まみれですけどね、痛いという意識はなかったですね。

    

ナレーター:この時、河内さんは、友だちのケガのことで

  頭がいっぱいでした。隣に写っているのが友だちです。

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  (友だちは)服が破れ、肌が露わになっています。

  橋にたどり着くまでに、何があったのか。

  

  8月6日の朝、河内さんたちは、戦地に行った大人の代わりに、

  働いていました。

  爆心地から1.6㎞の貯金局で仕事をしていた河内さん。

  午前8時15分、原爆が炸裂。

  秒速70mを越える猛烈な爆風に襲われます。

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河内さん:シャーって何か、窓いっぱいの火の塊みたいなのが

  入ってきたんです。

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  狙われたっと思ったですね。

  「きたー」と叫んだのを覚えているんです。

  自分の身体が、持ったカードと一緒にフワ~と飛んだんです。

  わーっと思ったら気絶したんです。

  

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ナレーター:河内さんは吹き飛ばされ、壁にたたきつけられました。

  意識を取り戻して目にしたのは、

  内臓が飛び出た姿で息絶えていた女の子。

  その子を踏まないように外へ出ると、

  顔を血で染めた友だちがいました。

  

河内さん:友だちがね、私に抱きついてきたんです。

  「みっちゃん 頭が割れた」と言うんです。

  「ええ!」って言うて、(友だちは)血まみれでした。

  それで私に抱きついたから、私ここら(体前面)が血まみれです。

    

ナレーター:壊滅地帯で火災が確認された場所です。

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  原爆投下とともに発生した火災は、徐々に広がっていきました。

  河内さんは、友だちと自宅をめざしますが、

  火災で近づけないと聞き、引き返します。

  通れる道を探しながらたどり着いたのが、御幸橋でした。

    

  投下から3時間後。何が起きたのかわからないまま、

  傷ついた体でここ(御幸橋)にいたのです。

  

  河内さんにとって忘れられない光景が写真に写っています。

  

  

この「忘れられない光景」については、次の投稿で。

  

  

  

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