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2016年5月 4日 (水)

引用「やってはいけない104のこと」/特別支援教育だから見えること

  

今日は5月4日。

  

前投稿に引き続き、

「読み書き算数ができる子にするために

やってはいけない104のこと」(立石美津子著/中経出版)

からの引用です。

  

前投稿に引用したように、具体的な概念を表す漢字は、

幼児には理解しやすいということに、

立石さんが気がついたのは、

特別支援学校の中学3年のクラスに教育実習生として

担当した時だそうです。

  

9年間習っても覚えられない「意味のない記号のひらがな」より、

「意味のある言葉である漢字」の方が

はるかに覚えやすかったのです。

脳に障害のある子どもに指導してみると、

ひらがながいかに難しいかよくわかります。

健常児はひらがなも漢字も同じようによく覚えるので、

どちらが難しいか大人にはわからないだけです。

「障害児教育が教育の基本である」というゆえんです。

(34p)

  

※とても大事なことを言っていると思います。

村上公也先生のように、長年特別支援教育に

たずさわってきた方だから、

「漢字を先に教えた方がいい」という言葉は、

説得力が出てきます。

  

ひらがなは一文字に対して一音で対応しています。

どんな難しい文章でも音を拾って声に出せば

とりあえず読むことができます。

英語で書かれた本を読む時、

アルファベットの一文字一文字を知っていても、

「icecream」「apple」など言葉として

単語が頭に入っていなければ、

本に書かれた内容を声に出すことも理解することもできません。

ひらがなは一文字に対して一音で対応しているので、

意味がわからなくても声に出すことはできます。

大人はこれを「理解して読んでいる」と錯覚してしまいます。

これが発達障害の一つである学習障害児(LD)の

早期発見・早期支援が日本は遅れている一因になっていると

言われます。

漢字が頭に入っていると、

ひらがなばかりで書かれた文章を読む時も、

自然と頭の中にある漢字に置き換えて読んでいます。

ですから、漢字力のある子どもは読解力も高いのです。

音を拾って読むだけの「拾い読み」の悪い習慣がなく、

意味を汲みとりながら読んでいるからです。(38~39p) 

  

※これもなるほどと思った文章です。

やはり、漢字の学習にもっと力を入れることで、

子どもの力は伸びるのだとあらためて思います。

特別支援教育でこそ力を入れて教えて、

実証してみたいことです。

   

【止め・はね・払いを厳しく採点している】

自分もうまく書けないのに、

子どもの字を虫眼鏡で現場検証する警察官のように採点したり、

勉強不足で「い」の一筆目をはねない子に×をつける

小学校の先生がいます。

でもこれは先生が間違っています。

生徒に教える前に学習指導書を読んでいないのです。

小学校の書写の学習指導書に左記のように明記してあります。

①本来、はねと言えるのは「か」の一筆目の終筆だけである

 (『加』が字源であることから)

②次の筆へ行くための筆意「こ・い」の一筆目、

 「せ・さ」の二筆目などは、見える形の「はね」にならなくてもよい。

昔、筆記用具は筆しかありませんでした。

ですから、文字は毛筆文字が基本にできています。

筆で書く場合は小さいはねが

一筆目から二筆目に移動した時に残ります。

筆の勢いによってできたはねで、

これを「筆勢のはね」と言います。

筆の勢いでできたはねなので鉛筆で書く時は、

はねてもはねなくてもどちらでもよいとされています。(72~73p)

  

文章も同じです。

書きたいことがたくさんあっても、

「カレーライスおいしかった」としか書けません。

どんな風においしかったのか、

なぜおいしいと感じたかなんて書けません。

(中略)

人生たかが5年程度の子どもに、これはできません。

すばらしい文章を書くには、その材料となる多くの優れた言葉を

今のうちにインプット、脳に録音することです。

日記を書かせる時間があったら絵本の読み聞かせを

一冊でも多くして言葉の貯金をしましょう。(87p)

  

日記を書けない子は目の前にいます。

明日からの指導の参考にします。  

  

【読書と学力は無関係と思っている】

はっきり言います。本を読まない子は勉強ができません。

(中略)

語彙が豊富な子どもは、絵本をたくさん読んでもらっています。

「突然」「美しい」などの副詞・形容詞を知っています。

さらに、幼児期に絵本の読み聞かせをされて育つと

間違いなく本が好きになります。

(中略)

小学生になり自分の力で本を読めるようになると、

進んで読書をするようになります。

読書により、絵本に出てこない色々な文章に接し、

新しい言葉をどんどん覚えていきます。

小学校6年生で1カ月に30~80冊、

つまり毎日1~2冊の本を読んでいる子どもは、

3万7000語もの語彙があります。

反対に1カ月に1冊も本を読まない子どもの語彙数は、

8000語にとどまっています。

語彙が豊富な子どもは先生の話をしっかりキャッチできます。

けれども、語彙が貧弱な子どもは、

先生の話が耳から耳へ抜けてしまいます。

また、本を読む子どもは読むスピードも速く、

1秒間に20~25文字も読めます。

ところが、本を1冊も読まない、読書しない子どもは、

1秒間に2~5文字しか読みとることができません。

さらには、読書しない子どもは、

本を読んでいるうちに読んだことが頭からどんどん抜けて、

あげくの果てには文章を見ると眠くなります。

全ての教科は読むことを前提としています。(92~93p)

  

※やっぱり「読み」が第一ですよ。

特に特別支援学級ではよりそう思います。

  

【昔からある本は古臭いと思っている】

10年、20年と生き残って出版され続けている絵本は

いい絵本です。

ずっと支持されているから、

いまだに売られているのです。

何年も版を重ねて刷られるのは、「本物」だからです。

(99p)

  

「だるまちゃんとてんぐちゃん」

(加古里子作・絵 1967年 福音館書店)がそれですね。

※参考:ここでも道草 加古里子さん/「さとこ」ではなくて「さとし」でした(2015年10月11日投稿)

  

まだつづく。

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