五色百人一首を始めた/負けを認める指導
今日は11月25日。
負けを認める指導はどうしたらいいか。
特別指導学級の担任をしていると、さらに切実に感じるテーマです。
以前、TOSSで五色百人一首を使った実践があったぞと思って探しました。
まずは桑原泰樹先生のサイトと思われる「教師力」からの引用。
※教師力 特別支援教育を視野に入れている担任チェック10項目(槇田健氏作成)
1 教室の全面がすっきりしている
2 鉛筆は、B・2B・4Bを使わせている
3 赤鉛筆でのなぞり指導を取り入れている
4 五色百人一首をやっている(負けを認める指導)
5 ペーパーチャレランを取り入れている
6 わかるよりできるを優先している
7 「お目こぼし」を知っている
8 一時一事の原則を実践している
9 読字障害を意識している
10 逆転現象を起こす実践を知っている
このうち6以上できていたら、学級は騒乱状態にならないそうです。
この中に「五色百人一首(負けを認める指導)」がちゃんとありました。
これですよ、これ。
確か、五色百人一首による負けを認める実践は、
椿原正和先生が唱えられていたぞと思い出して、
椿原先生の名前を入力してさらに検索しました。
その結果、行き着きました。
「教室ツーウェイ」2009年9月号の椿原先生の論文です。
「発達障害の子どもたちが五色百人一首で『負けを受け入れるようになる』四つの原則」です。
「明治図書のオンライン/教育記事DATABASE」で、
少しお金を払えば、この論文が読めることを初めて知りました。
ありがたいことです。興味のある人はぜひ。
少しだけ引用します。
(前略)
高野実践から導き出せる四つの原則
高野氏のいう「負けを受け入れた」とは次のことである。
① ルールを守れるようになった。
② 我慢できるようになった。
この二つが発達障害をもった子どもたちの自立にとってどれだけ重要な意味を持つかは、おわかりだろう。
追加するなら、この二つに基礎学力をつけることができれば、立派に自立できる。(27p)
「高野実践」とは、発達障害児に百人一首を毎日5分間行った実践です。
高野先生の実践から、椿原先生は次の四原則を導き出しています。
原則1 毎日5分間、百日続けよ
子どもが机を蹴飛ばそうが、札を投げようがとにかく続ける覚悟を教師が持つということだ。
そうすることで、さまざまな対策が考えられる。
(中略)
原則2 夏休みも続けさせよ
また、いつも負けてばかりでは負けへの耐性はつかない。
勝ったり負けたりを繰り返すなかで負けへの耐性がついていることもわかる。
その際、重要なことがある。
勝つ体験を意図的に仕組むことだ。
例えば、その子の目の前にある札を読んであげるとか、
得意札を作ってやるということである。
向山実践で五色百人一首の初期の指導の中に
「1枚札を覚えなさい」
というのがある。
これがまさに負けを受け入れない子どもたちに耐性をつけるポイントだったのだ。
原則3 札を覚える手だてを打て
(中略)
机を蹴飛ばす、罵声をとばす、パニックになるなどの状況が見られる。
この時期で多くの教師は、五色百人一首をやるのをやめてしまう。
この時期は、負けを受け入れることに対する葛藤状態なのだと考えられる。
しかし、この時期を越えると安定するようになる。
負けを受け入れる第一段階である。
そして安定期の中でもパニックが再発することがある。その要因は何か。
「毎日やらない」
このことが大きな要因になっている。
このことから次の原則が導き出される。
原則4 日課に組み込め
思いつきのように実践したり、空き時間がある時に実践したりでは駄目なのだ。
行事で忙しい時もある。
そういう時でも必ず実践できるように
日課の中に取り込むことが重要なのだ。(27~28p)
百人一首の実践、始めています。
定期購読している「教師のチカラ」(2012年夏 No.10 日本標準)にも参考になる論文がありました。
神藤晃先生による
「望ましい行動を『汎化(はんか)させるヒントは、かるた遊びにある」です。
※汎化=特定の場面だけでなく、他の場面でも応用できること。
お薦めです。
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