フェルメールの贋作事件
今日は4月22日。再スタートから9日目。
以前、オランダの画家フェルメール(1632-1675年)について書きました。
それ以後、「フェルメール」への関心が高まり、2冊本を読みました。
「私はフェルメール 20世紀最大の贋作事件」(フランク・ウイン著/ランダムハウス講談社)
「もっと知りたいフェルメール 生涯と作品」(小林賴子著/東京美術)
この2冊とも、フェルメールについての贋作について書いてありました。
フェルメール没後、作品が30数点と少なく、
それらが個人コレクションだったため公開されていなかったこともあって、
フェルメールの名声は、没後立ち消えになっていたそうです。
19世紀後半になって再評価されて有名になり、
まだ作品はあるのではないかと思われていました。
贋作を作る人にとって、フェルメールは魅力があったというわけです。
20世紀最大の贋作事件を起こしたのは、ハン・ファン・メーヘレン(1889~1947年)。
彼は、フェルメールと同時代の絵を手に入れて、
その作品の絵具をそぎ落とし、そこに自分の絵を描きました。
フェルメールの使っていたのと同じ絵の具を調合して作り、
古く見せるために、ひび割れを人工的に作りました。
そしてフェルメールの技法をまねて絵を描きました。
ただフェルメールが描かなかった主題の作品を作りました。
贋作といえば、有名な絵の精巧なコピー程度に思っていた私の発想を変えてくれました。
「私はフェルメール」の中で、ハンが2作目のフェルメールの贋作になる「エマオのキリスト」を作りあげ、
売買するまでの過程は、実に克明に書かれていて、読んでいて共犯者になった気持ちになります。
この作品は、多くの専門家をあざむき、フェルメール作品として高額で売られ、
オランダの美術館にフェルメールの作品として飾られました。
ハンが逮捕され、「エマオのキリスト」は自分が描いたものだと言っても、
多くの人は信じませんでした。
フェルメールをめぐって、こんな事件があったことを知って、不謹慎にも?うれしくなりました。
何にこだわっても、面白いことにぶつかります。
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