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2012年1月 3日 (火)

上海上陸作戦その5・・・80日で24キロ体重減

   

今日は1月3日。

前投稿のつづき。

上海敵前上陸」(三好捷三著 図書文化社)より引用。

著者は、上海から南京への強行軍中に病のために病院へ。入院と言われる。

    

私は別室に入り、看護兵に手伝ってもらってフンドシ一つの裸になった。

そして、出征してからはじめて自分の体を見ておどろいてしまった。

すっかりやせほそった体には骨がつきだし、

足は両方ともスネから下の皮が全部なくなって肉が露出し、

膿と血が流れている。

上陸以来私は、めったに巻脚絆(ゲートル)を巻きかえることがなかったので、

自分の足を見たことがなかった。

足を水びたしにしては乾かし、乾いてはまた水びたしにするような毎日であったので、

足が腐ったようになってしまったのだろう。

   

私はそれを見て、本当に自分の身体なのか、と目を疑った。

それと同時に、よくもここまで生きてきたものだ、という感慨がわきあがってきた。

看護兵が私の目方をはかった。

「十一貫五百(約43キロ)」

看護兵は機械的に目盛りを読み上げた。

私が出征前に丸亀連隊で行なった身体検査では、十八貫(約67.5キロ)であった。

上陸以来八十日、そのあいだに24キロあまりも体重が減ってしまったことになる。

   

私はそのままの姿で軍医の前に立った。

軍医はじっと私の裸を見ていたが、

「お前はそんな姿になるまで、どうしてがんばっていたのか。

どうして軍医に見せなかったのだ?」

彼はなかばあきれ顔で優しく私にいった。

私はその言葉を聞いたとたんに感情がこみあげ、あふれる涙をとどめることができなかった。

「軍医殿はそういってくれますが、上海の戦場には薬も病院もなく、

軍医にお願いしても、相手にしてくれませんでした。

毎日がひどい戦争だったのです。」

そして私は動けなくなってしまった。207p)

   

上海に命からがら上陸した著者たちは、毎日心を休める間もなく、

いつ命を落とすかわからない状況で進軍し、戦っていました。

周りでは戦友が傷つき、命を落としているのを目にしてきました。

80日の間に落ちた体重が、その時の苦労を物語っていると思います。

    

以上で引用を終了します。

上海敵前上陸」(三好捷三著 図書文化社)はもう新しく出版されていないようですが、

どうにか手に入れて少しでも多くの人に読んでもらいたいと思いました。

上海敵前上陸 (1979年)
上海敵前上陸 (1979年) 三好 捷三

図書出版社 1979-11
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この本の文を引用して、上海上陸作戦の様子をまとめたサイトも参考にしました。

ここです。※「戦史研究/ウースン(呉淞)上陸作戦」htm

   

日本人も中国人もたくさんの人たちが上海ー南京での戦争で亡くなりました。

どの人も、戦争がなければ死ななかった人です。さぞ無念だったと思います。

その戦争自体も、歴史の彼方に行ってしまいそうです。

もし、自分が犠牲者の一人だったら、

生きている人たちに自分たちのことを語り継いで欲しいと思うのでは。

私のブログで、少しでも関心を持ってくれたら幸いです。     

     

上海上陸作戦を知って勉強中。何か情報があったら教えてください。

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