本「最高のがん治療法」② 抗がん剤治療の日本の現状
今日は令和6年1月13日。
前記事に引き続き、
「最高のがん治療」
(津川友介・勝俣範之・大須賀覚著/ダイヤモンド社)
より引用していきます。
抗がん剤を使用する医師は、副作用をきちんと管理できなければいけ
ません。しかし、残念ながら日本では必ずしもそれがきちんと達成で
きているとは言えません。
先進諸国の中で、日本は抗がん剤治療の専門医(腫瘍内科医)がいちば
ん少ないのです。日本での抗がん剤治療の多くは、腫瘍内科医ではな
く外科医によって行われています。
アメリカの腫瘍内科医は1万7601人(2019年6月現在)であるのに対し、
日本は1330人(2020年2月現在)と、アメリカの15分の1しかいません。
人口の違い (アメリカ3・27億人、日本127億人)を考慮しても、圧倒
的に少ないことがわかると思います。
(64p)
少ないとどうなるの?
腫瘍内科医は、抗がん剤治療を行うだけではなく、あらゆるがんの診断
から治療までを広く担当する総合的ながん専門医です。
欧米では、1970年代から腫瘍内科の専門医制度が確立しており、専門医
によって抗がん剤が投与されています。 がんを専門にする医師は何科医
かと聞くと、一般市民でも「腫瘍内科医」と答えるほど一般的な存在に
なっています。
それに対し日本では、がんの専門病院ですら腫瘍内科医がいない現状が
続いています。残念ながら、腫瘍内科医のいない病院では、がん患者さん
の総合的なマネージメントをする専門家がいないこともあり、しばしば
正しい抗がん剤治療が行われていないという問題があります。
(65p)
こんなの聞いちゃうと、私ががんになった時には、
腫瘍内科医に、抗がん剤治療をしてほしいな。
抗がん剤治療については、もう少し引用します。
抗がん剤治療で重要なことは、副作用を恐れてむやみに抗がん剤を減量
してしまわないことです。 副作用を恐れて中途半端に投与量を減らすと、
がんに対する効果も弱まってしまうからです。
日本には専門医が少ないこともあり、抗がん剤にあまり詳しくない医師
が、副作用を恐れて安易に減量投与をしたり、逆に減量せず投与したも
のの、副作用管理がうまくできなかったりする現状があります。その意
味でも、抗がん剤は専門医によって投与されるべきです。
抗がん剤治療で体がボロボロになってしまったなどという話はよく耳に
しますが、 これもやはり、専門医が不足していることが一因でしょう。
抗がん剤治療の副作用管理が進歩したおかげで、2020年3月現在、血液
がん以外のほぼすべての固形がんの抗がん剤治療は、通院治療で行える
ようになりました。
欧米では、固形がんの抗がん剤治療を入院で行っていることはほとんど
ありません。
しかし残念なことに、日本では、通院治療が可能な抗がん剤でも、いま
だに入院で行われていることが多いのが実情です。厚生労働省のデータ
を見ても、半数以上の患者さんの抗がん剤治療が入院で行われています。
本来、通院でできる抗がん剤治療を入院で行うと、患者さんの生活の質
(QOL)を低下させ、社会復帰を妨げる要因になります。
患者さんには直接関係ありませんが、入院には多大なコストがかかりま
すので、医療費を必要以上に使っていることにもなります。
抗がん剤治療は確実に進歩していますので、日本の体制をもっと整えて、
多くの患者さんが通院で治療を受けられるようになってほしいと思いま
す。
(65〜67p)
抗がん剤治療の日本の現状を私は心配になってしまいました。
日本の「標準治療」を信頼したかったのに、
抗がん剤治療については、まだ最高レベルになっていないのですね。
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