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2023年1月 1日 (日)

「無人島のふたり」⑥ 山本文緒さんが言及した本は読みたくなります

     

今日は令和5年1月1日。

  

前記事に引き続き、

「無人島のふたり 120日以上生きなくっちゃ日記」

(山本文緒著/新潮社)より引用していきます。

   

2021年10月13日に亡くなった山本文緒さんの日記です。

   

7月18日の日記です。

  

とろとろ眠って、目が覚めると例の吉川トリコさん『余命一年、男を

かう』を読むことを一日繰り返す。

そういえばこの本の前に読んでいた平野啓一郎さん『本心』も余命を

扱ったテーマだったな。余命ブーム?

どこか痛いのでもなく吐き気がするのでもなく、ただ体が重くてしん

どくて、平野さんの本の中にあった”自由死”が認められていたら私は

選択しただろうかとぼんやり思う。

トリコさんの本は面白かったです。

(92p)

  

私は余命ブーム。2冊の本を図書館に予約しました。

  

7月26日の日記です。

  

最近体調が思わしくないせいか新しい本を読む気がせず、テレビで映

画化のことを知った村上春樹の『女のいない男たち』を再読。ほとん

ど内容を覚えていなかった。

映画化された「ドライブ・マイ・カー」は妻をがんでなくす男の話で、

これは夫に読ませるわけにはいかないと隠す。

春樹さんの本から気持ちが離れて久しいけれど読んでみればやはり巧

さに唸る。

(103p)

  

この本も読んでみたくなりました。

2月くらいに読もうかな。

山本さんの影響を受けている人がここにいますよ。

   

  

7月27日の日記です。

 

体の倦怠感は薄まるどころか日一日とどんどん重くなっている。ソフ

ァに5分も座っていられない。

仕方なくベットに横になるが、ここのところずっと横になっていてま

すます筋力が落ちたのか、腰や背中が痛くてたまらない。縦にも横に

もなっていられない。身の置き所がなくて、ただもぞもぞ寝返りを打

って唸っているしかない(後で知ったのだが、この「身の置き所がな

い」というのもがんの症状のひとつらしい)

(103p)

  

がんになった時にそなえて、知識として得ました。

  

7月28日の日記です。

  

「だるいんです」といったところでどうしようもないのだろうなと半

分以上はあきらめ気味に訴えたところ、ステロイド薬を飲むのがいい

かもしれないということになった。

ステロイド・・・・そういえば、猫のさくらが病気で亡くなる前、ス

テロイドで、かなり元気をとりもどしていたな、と思い出す。

私の病状も、もうそのあたりまで進んでいるんだなと暗くなりつつも、

今朝から少量飲み始めたら、体がいきなり軽くなってびっくり。

5分も座っていられなかったのに、今日は洗濯物もたためたし、花を

活けたりもできた。本も読めるし、日記も書ける。それより何より、

夫のほっとした顔を見られてよかった。

(105p)  

   

そうなんだ、余命を宣告された人もたいへんですが、

その人に日々接している人も辛い日々が続くのです。

この文章でハッとさせられました。

    

8月1日の日記です。

ステロイドが効いているのか、山本さんは元気です。

   

元気なので島本理生さんの新刊『星のように離れて雨のように散っ

た』を読んだ。とてもよかった。初期のころの島本さんのテイスト

が復活しつつ、熟成した今の島本さんが仕上げた極上の対話小説だ

った。

この本の中に村上春樹さんの『ノルウェーの森』について登場人物

が意見を述べる場面があって、再読したくなってアマゾンで注文し

た。

(109p)

  

まるで遺言のように、山本さんが言及した本は読みたくなります。

この本も2月に読もう。

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