「朝食にパンを食べるな」③ 人間の体は、炭水化物を消化するには不向き
今日は令和5年1月6日。
前記事に引き続き、
「朝食にパンを食べるな 10万人の胃腸を診た専門医が教える!!
長生き食事術」(福島正嗣著/プレジデント社)より。
「誤解だらけの消化・吸収のしくみ」の章に書いてあったことを
まとめます。
胃もたれの主な原因は、炭水化物もしくは「炭水化物+酸化した油」
の組み合わせだと考えています。
(57p)
「胃もたれの主犯は炭水化物」という考えに至ったわけです。
(59p)
炭水化物の主成分であるデンプンは胃酸やペプシンの影響を受けに
くいため、胃は食道のように通過器官の一つでしかないのです。
(67p)
タンパク質と脂質は、小腸で膵臓から出る膵液で分解されて、
タンパク質はアミノ酸として小腸で吸収。
脂質はリンパ管で吸収される。
しかし、炭水化物が小腸に到達しても、タンパク質や脂質に比べて
消化酵素の分泌が少ないことが研究でわかっています。
この点からしても、炭水化物は消化液である膵液を刺激することが
少ない栄養素で、消化の要であり、かつ最後の砦である膵臓も、炭
水化物の消化には重点を置いていないと考えられます。
その理由としては、700万年ともいわれる人類の歴史の中で、農
耕を始める以前の約690万年の間は炭水化物を大量に食べること
がなかったため、人間の体にそこまでの対応ができていないからだ
と思われます。
(70p)
炭水化物は、人間の消化管にとっては苦手なものなのです。
その理由が、人類の歴史の中で、
大量の炭水化物を食するようになったのが最近のことだから。
説得力があります。
したがって、胃での滞留時間に違いが出てきます。
胃での滞留時間
・タンパク質・・30分~1時間
・脂質・・・・・タンパク質とほぼ同等
・炭水化物・・・4~8時間
(72p)
「腹持ちがいい」という表現を使うときがあります。
結局それは炭水化物が、なかなか胃で液状化されず、
小腸に送り込まれないためだったのでしょうか。
ただ炭水化物の中の糖質は、液状であるために、
すみやかに小腸に送られるそうです。
血糖値が上がるのは、そのためでしょう。
この仕組みを具体的に書いた部分を引用します。
胃の中ではパンやご飯などの炭水化物を消化するアミラーゼが分泌
されないため、化学的消化は行われません。ただし、口腔内での咀
嚼と唾液腺からのアミラーゼによって分解され、それが胃に移動し
て大量の胃液や胃の蠕動(ぜんどう)運動により攪拌(かくはん)
され半液状化されます。
その際、米や小麦の中の食物繊維以外のαデンプン部分だけは、唾
液のアミラーゼにより分解されてすみやかに小腸に送られるため、
比較的早く血糖値が上昇すると考えられます。
唾液のアミラーゼで分解されなかったデンプンと食物繊維は、胃の
消化液では分解されないため、長い時間残ることになります。
(76~77p)
炭水化物だけ胃での滞留時間が長いことが、問題を起こします。
タンパク質と大量の炭水化物を食べた場合、
人間の体は、タンパク質の消化のペースで動いてしまいます。
タンパク質が胃に入ると、胃液や分解酵素が出ます。
30分から1時間でタンパク質の分解は終了して、小腸に送られます。
小腸では膵臓から膵液が出て、分解吸収が進められます。
その時に小腸から、胃と食道の間にある下部食道括約筋に指令が出ます。
もう胃袋の中には、食べ物がないから、
開いても大丈夫だよという指令です。
つまり胃液が、食道を逆流しないように閉められていたのです。
以上がタンパク質の消化のペースで行われるのです。
やっかいなのは、タンパク質が小腸に送られても、
胃の中には、炭水化物が残っているということです。
食べ物が残っている以上、胃液は出続けます。
でも胃の上部の下部食道括約筋は開いてしまいます。
その結果、大量のゲップが出たり、胃液が食道を逆流する
逆流性食道炎が起こってしまうのです。
何度も書きますが、人間の体は、
炭水化物を受け入れるスタイルにはなっていないのです。
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