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2022年12月24日 (土)

本「アンゲラ・メルケル」⑤ メルケル首相を一番鍛えたのはプーチン大統領

今日は令和4年12月24日。

  

前記事に引き続き、

「アンゲラ・メルケル 東ドイツの物理学者がヨーロッパの

母になるまで」(マリオン・ヴァン・ランテルゲム著

清水珠代訳 東京書籍)から引用します。

新しいテクノロジーにはつねに反応する科学者、メルケルはSMS

の便利さに夢中になり、CDUの皆にメッセージを嵐のように送っ

た。面白いほど熱心に送信し続けるので、SMSは「ショート・メ

ルケル・サーヴィスだよね」と皆は冗談を言いあった。

(130~131p)

  

メルケルにはこんな面もあったのですね。

  

メルケルの側近には、優秀な2人の女性が仕えていました。

ベアト・バウマンとエーファ・クリスチャンセンです。

さらに3人目の女性が登場します。

  

ウルズラ・フォン・デア・ライエンです。

この本では153pに登場します。

この名前、聞いた事があるぞと思ったら、

現在のヨーロッパ委員会の委員長でした。

ちょくちょくニュースに登場していました。

Official_portrait_of_ursula_von_der

wikipedia

メルケルの内閣で、大臣を歴任した人でした。

つい年齢が気になります。64歳でした。

  

アンゲラ・メルケルは西側の有力政治家たちとは反対の方、すなわ

ち東側で世の中について学んだ。中でも彼女を鍛えた筆頭は、世界

一広大な国の指導者であり、世界のポピュリズム的ナショナリズム

の権化であり、EUの政治路線やメルケルが体現する民主主義的価

値観とあからさまに対立するウラジミール・プーチンだった。メル

ケルとプーチンは特別な関係だった。彼女は被占領国側、彼は占領

国側であり、多少の違いはあったものの、ともに独裁的共産主義政

権を知り尽くしている。彼女が東ベルリンで物理学の博士論文を準

備していた頃、彼もまた東ドイツにいて、彼女のいた場所からおよ

そ200キロメートル離れた地点を拠点にしていた。柔道の黒帯を

なったうえ、要注意人物に関する情報カードの作成に異様な熱意を

もって取り組んだプーチンは、KGB中佐の階級をもってドレスデ

ンに派遣されていた。KGBすなわち旧ソ連の情報機関には20年

近く諜報員として勤めた。

(176p)

  

さらにプーチン大統領の記述を引用します。

  

とはいえ指導者たちのうちでプーチンがもっとも敬意を払うのはメ

ルケルだった。プーチンは同じ指導者の立場にある人物には軽蔑し

か抱いていなかった。1999年から連邦政府議長(首相に相当)

あるいは大統領を務め続けている彼は、その政権掌握の長さで他を

圧倒している。任期の長さからいえばメルケルは、2003年から

トルコの最高指導者を務めるレジェップ・タイイップ・エルドアン

とともに、それほど遜色はない。プーチンにすれば、ノビチョク

(神経剤)で反対派を抹殺させることも、平和的なデモ参加者を何

年かの懲役刑に処して黙らせることも簡単なのに、2005年から

政権の座にあるメルケルが透明で民主的な手法を維持していること

は、おそらく驚きのはずだ。政敵を追放するメルケルの政治的手腕

に、プーチンは内心舌を巻いている。

(179~180p)

  

メルケル首相が引退してから、戦争を始めたプーチン大統領。

メルケル首相をもってしても、

プーチン大統領は止められなかっただろうか。

政治はけっこう真剣勝負なんだと、この本を読んで思いました。

   

メルケルがもっともよく知っているプーチンは彼女の価値観とは対

極にある人物だった。プーチンとハンガリーの首相オルバーンが一

方に、メルケルとマクロンがもう一方に位置し、彼らはヨーロッパ

において敵対する政治勢力の象徴となっている。

(181p)

  

ここでハンガリー首相のオルバーンという名前が出てきました。

勉強します。

NHK ハンガリーオルバン首相再選の背景

ハンガリーもEU加盟国です。

EUに加盟することを目指して、それがかなったのです。

しかし、加盟して、東西の格差を突きつけられています。

ハンガリーのぶどうが、スペインなどの西側の国のぶどうに

太刀打ちができないのです。

オルバーン首相は、EUがロシアの制裁で、

ロシアの天然ガス供給を減らしている中、

継続してロシアから天然ガスを供給してもらっています。

したがってガソリンも安いのです。

外国から、ハンガリーにガソリンを入れようとしても、

安い値段はハンガリーの車だけであり、

外国の車は、高値です。

自分の国中心の考え方です。

国民からは、こんなところが指示されているようです。

  

  

この本を読むことで、メルケル前首相のこともわかりましたが、

ヨーロッパのことも見えてきたと思っています。


  

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