「スイート・ホーム」② 結婚した時の初心に帰るような文章
今日は令和4年10月15日。
前記事に引き続き、
「スイート・ホーム」(原田マハ著/ポプラ文庫)
より。
なあ陽皆ちゃん。あんたも、昇さんとあったかい家庭を作りなさい。
小さくても古くてもええから、気持ちのいい家に住みなさい。
もしも窓がなければ、窓辺のように花をおけばいい。光が入らなけ
れば、明るい絵を掛ければいい。家は、そこに住む人が、明るく、
あたたかくするものだから。
陽皆ちゃん。お母さん、こんなふうに思うんやけど、どうやろ。
家は、人が住んで、家庭になる。「ハウス」は、人が人と暮らして、
時を経て「ホーム」になる。
ほんでね。わが家は特別。なんていうても、ただのホームやないか
ら。「スイート・ホーム」やもん。
陽皆ちゃん。あんたも、昇さんと築かんと。新しいスイート・ホー
ムを。
(49~50p)
結婚した時の初心に帰るような文章です。
わが家は、ちゃんと「ホーム」になっているだろうか。
私は、当時つきあっていたボーイフレンドがもとの家の近くに住ん
でいたこともあって、引っ越すことには正直あまり喜べなかった。
けれど、新居の二階、南向きの部屋で寝起きするようになって、や
っぱりここへ来てよかった、と思うようになった。
毎朝、南向きの大きな窓に下がっているベージュのカーテンを、さ
っと開けたときの感動。
街全体がきらきら輝いて、おはよう、といっせいに語りかけてくれ
ているみたいだ。
おはよう。今日もいい日でありますように。
心の中でそんなふうに街に語りかけて、私の一日が始まる。
(63p)
そうかこんな楽しみ方もあるかと思いました。
毎朝、寝ていた部屋のカーテンを開けるのは私の役目です。
南向きの窓です。
ロールカーテンを上げるのですが、
まだそこにはレースのカーテンがあります。
だから外の景色まではしっかり見ていません。
レースのカーテンもついでに開けて、景色を見ることで、
景色がおはようと言ってくるような体験ができるかもしれません。
そんなことを思いました。
「ふうん、なんか不思議やな。未来(みき)先生、めっちゃレシピ
のバリエーションあるねんで~って、ご近所の徳永さんが言うては
ったよ。何百ものレシピが頭の中に入ってて、すーッと出てくるん
と違うの?」
「まさかあ。いっつも苦労してひねり出してるねんよ。手軽に揃う
食材で、予算千円くらいで、ちょっと変わってて、おいしくて・・・
って、なかなか難しいねん。」
「わ、予算千円以内で?ちょっとそれ、私も興味ある」
(73p)
未来先生は、料理教室の先生です。
この文章を読んで、私は教材研究を思い出しました。
限られた授業の時間に、どの映像を使って、どう授業を流すか。
「いつも苦労してひねり出してるねんよ」状態です。
その積み重ね。退職するような年になっても、相変わらず。
この2日間で、月曜日の授業をひねり出さなくてはいけません。
未来先生の話の続きです。☟
我が家のキッチンは、毎晩、私の書斎となる。
壁面いっぱいの食器棚の一部は、母と私が買い込んだ料理本で埋ま
っている。母の蔵書の中には、「結婚するときに持ってきた」とい
う、かなり年季の入った「家庭料理読本」もある。ページのあちこ
ちが擦り切れてよれよれになっていたが、母はいまでも「初心に戻
って」この本を開くという。
私も、レシピ作りに困ったときには、この本を広げ、さあどうしよ
うとにらめっこする。
(81p)
キッチンが書斎。
いいじゃないですか。
私はすぐに教材研究している自分に置き換えます。
映像のしまっている部屋で、苦心している自分。
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