今日から8月/「スネークダンス」② 彫刻「アポロとダフネ」
今日は令和4年8月1日。
今日から8月。
生活のBGMは小田和正のアルバム。
このアルバムに入っている9曲を8月は聴き込みます。
いい1カ月にしたいです。毎日ブログは続けたいな。
昨日の記事の続きで、
「スネークダンス」(佐藤まどか著/小学館)より。
イタリアで生まれて、イタリアで育った主人公の圭人。
日本に移り住んできました。
東京下町でのこと。
たまにがっかりすることもある。二年前の夏休みに遊びに来たとき
にはたしかにあったはずの店が、ビルごとなくなっているのを見て、
圭人はさびしくなった。店員さんにとても親切にしてもらったから、
もう一度訪ねようと思っていたのだが。
そういうことは、ローマではまずない。何代も続いてきた店が、い
まだに同じ場所で、常連客の孫やひ孫を迎えてくれる。店主がいな
くなっても、子や孫や甥(おい)、姪(めい)などがあとをついで
いることが多いのだ。
新しいビルや店を見ていると、つい、ローマの古い町並みがなつか
しくなってしまう。
(51p)
石造りの建物が多いローマは、外見だけでなく、
中身の営みも受け継がれていくのでしょうか。
それは魅力的なことです。
久々に訪れても、つながりのある人がいるんだから、
思い出話ができるんだよなあ。
東京に来た圭人が、ローマを思い出すシーンをもう一つ。
とくに気に入っていたのは、緑豊かな公園の中にあるボルゲーゼ美
術館だ。三脚とフラッシュを使わなければ、写真を撮るのも模写す
るのも自由だし、すぐそばまでよって見ることができる。
ボルゲーゼ美術館でとくに好きだったのは、ベルニーニの有名な彫
刻「アポロとダフネ」だ。これ見たさに再来館する人も多いらしい
が、圭人もそのひとりだった。
太陽神アポロが、自分のものにしたいダフネをつかまえた瞬間、美
しいダフネが月桂樹の木へと姿を変えていく。ダフネの指は枝や葉
に変化していき、足元から根が生えて、体は木の皮におおわれてし
まう。ベルニーニはその変化の瞬間をとらえていて、見る人の息を
とめてしまう。
「プロセルピナの略奪」にしても、ナヴォ―ナ広場の噴水「四大河」
にしても、ベルニーニの彫刻は、まるで生きたまま被写体を石化さ
せてしまったようで、さわったら呪いがとけて動き出しそうだった。
(69~70p)
こんな文章を読んだら、彫刻「アポロとダフネ」を
見ないわけにはいきません。
でもその前に、アポロとダフネとキューピットが出てくる
この話を読んでみてください。
☝ ここからの引用です。
ある日、アポロンはエロス(キューピッド)が弓矢で遊んでいるの
を見て、子供がそんなものをおもちゃにしてはいけない、とからか
った。エロス(キューピッド)は、怒って、金の矢をアポロンに向
かって放った。そして、鉛の矢を川の神の娘、ダフネに射た。
金の矢は恋に陥る矢である。鉛の矢は恋を拒む矢である。
二本の矢が、二人の胸にささった瞬間から、アポロンはダフネを恋
し、ダフネはアポロンを拒否した。アポロンはダフネを追いかけた。
ダフネはどこまでも逃げた。
ダフネは父親の川の神のところへ駆け込み、言った。
「助けてください、お父様、私の姿を変えてください。」
彼女の姿が変化してきた。足元から月桂樹の木になっていった。
アポロンが追いついたとき、ダフネは最後の心臓の鼓動を鳴らせて
いた。
アポロンは、ダフネへの愛の記念に、ダフネの月桂樹の葉で冠を作
り、生涯それを頭にかぶっていた。
人間の恋愛も、キューピットの矢の仕業なんでしょうかね。
この話を読んで、いよいよ彫刻「アポロとダフネ」を見ましょう。
私は、今晩はこれをじっくり見て、小田和正の曲を聴いて寝ます。
それじゃあ、写真を載せます。
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