「アドリブ」④ 『シランクス』『パンの笛』を聴いてみた
今日は令和4年8月27日。
前記事に引き続き、
「アドリブ」(佐藤まどか著/あすなろ書房)より。
ドピュッシーの『シランクス』は、ぼくがもっとも尊敬するフルーテ
ィスト、マルセル・モイーズがドピュッシー本人の前で吹いたという
逸話つきだ。もの悲しく、幻想的なメロディで、物語も魅力的だ。
ギリシア神話の美しい精霊シューリンクス(古代ギリシア語。フラン
ス語ではシランクス)は、半獣の牧神パンにひと目惚れされ、追いか
けまわされて逃げまどう。
行き場を失ったシューリンクスは、川の精に祈り、葦に姿を変えた。
追いかけてきたパンは葦になったシューリンクスが風に揺れて奏でる
音に聴きほれた。パンはその葦を折って葦笛パンフルートを作り、「
少なくとも、あなたの声と共にいることができる」と喜び、肌身離さ
ず持ち歩くようになった。
古代ギリシャのこの伝説を目に浮かべるようにして、ドピュッシーは
この曲を作ったのだろう。幻想的なイメージが、ありありと浮かんで
くる。少し霧がかかった森の中、水辺、美しいシューリンクス、シュ
ーリンクスを失った悲しみと、美しさをたたえる喜びがとけあったパ
ンの笛の音色。
(174~175p)
読んでいて、この曲を聴いてみたいと、また思いました。
そして、今の世の中は、そう思えば聴くことができます。
尾崎勇太さんという人の演奏です。4分弱の曲です。
YouTube: Syrinx/C.Debussy by yuta ozaki
フルートのソロ演奏もいいなと思います。
道草して絵画にも手を伸ばします。
http://mementmori-art.com/archives/19715990.html
牧神パンの絵です。今まで私が知らなかった世界です。
牧神パンに関する曲は、「アドリブ」のなかで、
もう1曲登場します。
ムーケの『パンの笛』
(209p)
主人公のユージが、オーディションで吹くことを選んだ曲です。
この曲も聴いてみました。
YouTube: J.ムーケ / フルートソナタ《パンの笛》より第一楽章“パンと羊飼い”
より深く読書ができた気分です。
便利な世の中です。
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