「キャパとゲルダ」⑥ ヘミングウェイの「誰がために鐘は鳴る」
今日は令和4年8月29日。
前記事に引き続き、
「キャパとゲルダ ふたりの戦場カメラマン」
(マーク・アロンソン&マリナ・ブドーズ著/原田勝訳
/あすなろ書房)より。
ヘミングウェイはゲルホーンとともに、キューバのくずれかけた邸
宅を住まいと定め、そこで十七カ月間、根をつめて書き、『誰がた
めに鐘は鳴る』を完成させた。そして、この小説には、スペインで
見たすべてーーー希望や英雄的行為、裏切り、ソ連による冷徹な工
作ーーーがもりこまれている。ヘミングウェイは、もはや一人の熱
心な共和国政府支持者ではなく、真実を語ることに情熱を傾けた小
説家だった。この小説は、1940年に出版されると批評家たちか
ら絶賛され、売れ行きも好調だった。しかし、左派勢力、とくに国
際旅団にいた人たちは、以前は同じ大義のために戦ってくれる有名
人として英雄あつかいしていたヘミングウェイに、今度は見捨てら
れてしまったような気分になった。彼らは、ファシストの悪と戦う
英雄的な戦争物語を望んでいたのであって、万人(ばんにん)の残
酷さを大胆にえぐる陰鬱な物語を望んでいたわけではなかったのだ。
エイブラハム・リンカーン旅団は不買運動を起こし、すべての人々
に、この本を読むな、と訴えた。
(212p)
この本を読んで、スペイン内戦のことがわかった上で、
ヘミングウェイの「誰がために鐘は鳴る」を読むと、
理解が深まるんだろうな。
2011年に録画して観ていない映画「誰が為めに鐘は鳴る」
(1943年)も観てみたいね。
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