本「おれは一万石 定信の触」読破/触は廻米でした 膂力(りょうりょく)
今日は令和4年3月5日。
この本を読みました。
「おれは一万石 定信の触」(千野隆司著/双葉文庫)
引用します。
「そうそう。松平定信様が、新たな触(ふれ)を出すという話も
耳にいたしました」
佐名木は話題を変えた。
「どのようなものか」
「ご府内での米の値は、天井知らずでございます。そこで米価を
下げるための手として、江戸への廻米(かいまい)を指図するも
のと思われます」
廻米は、多量の米をある地点から江戸や大坂など他の地点へ輸送
することをいう。またその輸送米そのものをいうこともある。定
信は、東北や関八州から米を江戸へ集める廻米政策を実施しよう
という腹らしかった。
米が集まれば、江戸の米価は必然的に下がるという考えだ。
「それは、無茶な話でございますな」
井尻が、渋い顔をした。
「いかにも。凶作で苦しむ東北や北関東に、江戸に回せる米があ
るわけがない」
「まったくの話だ」
(26~27p)
今回の話は、この松平定信の廻米のお触れに四苦八苦するものでした。
廻米は米価の調節のために、制限したり、増やしたりした模様。
江戸を中心に考えた政策と考えられる。
時代考証を結構している本なので、実際に行われたと思います。
正紀は佐名木ら重臣たちと打ち合わせを済ませた後、家臣の植村仁
助を伴って下谷広小路の高岡藩上屋敷を出た。
植村は元は今尾藩士だったが、正紀と共に高岡藩に移った。お忍び
の外出には、いつもついてくる。
剣術はからきしだめだが、巨漢で膂力(りょうりょく)だけは桁外
れにあった。
(29p)
この「おれは一万石」シリーズも、この本で7巻目。(通算8冊目です)
主人公の井上正紀の家臣植村仁助の紹介はいつも同じである。
「膂力」とは何だろうといつも思っていました。
調べました。
「筋肉の力、うでの力、腕力」の意味でした。
これですっきり。
コメント