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2022年1月21日 (金)

「放射線を浴びたX年後」④ そして映画化が実現する

    

今日は令和4年1月21日。

  

前記事に引き続き、

「放射線を浴びたX年後」(伊東英朗著/講談社)より

引用します。

   

アメリカ政府からの見舞金の四分の三は、魚の廃棄や魚価の暴落へ

の補償に充てられ、残りの四分の一は第五福竜丸の被ばく船員の治

療などに振り分けられた。その他の被ばくした末端の乗組員への補

償はなかった。

言い添えておけば、船主がすべて懐に入れたのは必ずしも悪いとは

言えない。そもそもの補償額として、微々たるものだったのだから。

被災した船を廃棄し、新たに買い直せる額でもなかった。船主が船

を手放せば漁労長以下、全員が職を失うことにもつながる。親族が

中心の村社会でもある。血のつながった人間にあこぎな真似はそう

しまい。

はっきりと分からなかったが、漁協の方が口にしたように、当時、

口利きをした政治家の懐にかなりの部分が流れたと考えるのが妥当

だ。もちろん真相は分からない。幻と言われた資料のコピーがある

だけだ。

ただ、これだけは言える。末端の乗組員は被ばくして、健康を害し、

その対価は何ももらっていない、ということだけは。

(158~159p)

  

第五福竜丸は特別だったのです。

偶然によって注目を浴びて、補償も受けたのです。

でも実態を考えたら、見舞金の使い方は偏りがありました。

そもそもその金額では補償できない出来事が起こっていたのです。

今からでも核実験をした国々に反省を求めるのは

遅すぎないと思います。

もう遅いと思って行動しない方がおかしいと思います。

  

  

内外の浦(ないがいのうら)は今日もどんよりしていた。だが、かつ

てここから意気揚々と漁に出て行った若者たちがいたのだ。しかし何

人もの若者が被ばくし、最後までそのことを知らずに死んでいった。

無念だったことだろう。私は取材当初の思いを強くする。

「この海はビキニの海につながっている。亡くなった方々の死を無駄

にすることはできない。この重大な出来事を、なんとしても世に広め

なければ・・・」

思いを馳せ、防波堤をあとにした。

(166p)

  

現場ならではの気持ちなんだろうと思いました。

だいぶ時間は経ってしまったけど、

出漁した場所に立つとこのような気持ちになるのでしょう。

現場は大事です。

  

   

「NNNドキュメント」とは、1970年代から日本テレビ系列の

地方局制作の番組を放送し続けている、まさに私の生きがいであり

憧れとも言える枠である。2013(平成25)年12月1日の放

送で2200回を超えた長寿番組でもある。その秘密は、系列局が

多様な視点で現代社会を切り取ってきたからにほかならない。

東京に比べ、時代のしわ寄せが強く出る地方だからなのか、問題に

正面からぶつかる地方のディレクターの息吹が聞こえてくる作品が

多い。定点的に地域を見つめ続けた地方局だからこそ切り取れる、

時代の合わせ鏡と言える作品が多々ある。戦争や核といった私が手

がけたような内容もあれば、知的障害を持つ愛娘を描いた作品や、

個人の生活に寄り添ったものまで、間口が広いのも特徴だ。制作側

として実際に参加していて感じ入ることは、見せ方への注文はあれ

ど、あれダメ、これダメ、という内容への介入がいっさい無いこと

だった。これには驚きの一言だ。

(169~170p)

   

前々記事に書いたけど、今年は「NNNドキュメント」に注目したい。

その中から、自分でも取材してみたいものに出合いたい・・・

なんてことも考えています。

  

  

私は言った。

「一度放送したら終わり。これでは事件のことを十分に知ってもら

えない。番組を映画化したい」

大西は、ビールを一口飲むと答えた。

「Nドキュの一時間の拡大枠でやれたら、映画に挑戦しよう!」

「どうせ酔いが醒めたら忘れとんでしょ!」

ぬか喜びとならないように、私はあえて軽く聞き流していた。

(207p)  

   

テレビ番組を制作している人も思っているんだよなあ。

「一度放送したら終わり」

見る側だと「見逃したら終わり」「録画しそこなったら終わり」

その点、映画作品はいい。

伊東さんはこの後、映画化を実現させます。

その映画を見てみたいです。

   

  

  

   

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