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2021年11月30日 (火)

通算7900本目の投稿/「線量計と奥の細道」① 「だったら、世界一のブロッコリーを」 番画〈535〉阿津賀志山の戦い

    

今日は11月30日。

   

この本を読みました。

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「線量計と奥の細道」(ドリアン助川著/集英社文庫)

   

引用します。

    

これを風評被害という言葉で片づけてしまうのは、私は違うと思って

いる。基準値以下であろうと、どれだけかすかな数値であろうと、セ

シウムが検出される農作物を進んで食べる人はいない。福島産と岡山

産の桃が並んでいれば、岡山産を選ぶのが普通の心理ではないか。こ

れは原発事故による実害。そこをはっきりさせないと、福島の農家は

消費者を恨むという妙な方向に行ってしまう。

では、いったい農家はどこに活路を見出せばいいのか。酒が進むうち、

当然これがテーマになった。

一人、ブロッコリーを作る農園で働いている青年がいた。彼を囲むか

たちで話が盛り上がってきたとき、こんなことを言い出す人がいた。

「学校でもらしちゃった子は、もらしたもらしたって、ずっと言われ

るんだよ。それが今の福島。じゃあ、どうしたらいいかっていうと、

走るのが思い切り速いとか、ものすごく勉強ができるとか、もらした

こと以外で知ってもらうしかない。そっちで人気者になるしかない」

なるほど、と思った。福島の農家が直面している問題に限らず、これ

はあらゆる場面で有効なたとえだ。みんなも顔を見合わせた。

補償がどうしたとか、検出値を下げるとか、そうしたことばかりに気

をとられていると、どうしても受け身の姿勢になってしまう。そうで

はなく、これを人生の試練と受け止め、理想の農作物を作るための契

機にできるなら、未来はひらけるはずだ。

「だったら、世界一のブロッコリーを作りましょう」

農家の青年はそう言って、何度もうなずいていた。私もまた、福島に

入って初めて光を見たような気がした。

(98~99p)

   

この本は東日本大震災から、1年半ほど経った時に、

奥の細道のルートを自転車を中心に、鉄道や自動車も使い、

時には自転車を押して歩きながら、旅をした時のエッセーです。

線量計をもって放射線量を測定しながら、

福島第一原発がもたらした被害を目の当たりにして、

そこに暮らす人たちと交流している。

「だったら、世界一のブロッコリーを」という発想を、

今も福島の人たちは持ち続けているだろうか。

自分も、この発想で生きていきたいですね。

「だったら」私は何をしよう。

  

  

「シジフォスの岩」

(116p)

たとえで使われていた岩。

「何度崖に押し上げても落ちてくる」と形容されていた。

どんな岩だろうと思ったので調べてみました。

難しかった。およそ次のような話でした。

最もずる賢い人間であるシジフォスは、

2回も神をだました罰で、死後、冥府で、頂上に着くと

また転がり落ちてくる岩を何度でも山の上に押上げる苦役に

服すことになったのだそうです。

このたとえを理解できたかな。

  

ペダルを漕ぐのはしんどいけれど、巡り合う風景すべてが語りかけ

てくる。

(125p)

   

通勤であっても、自転車に乗っているとこの感覚はあります。

賛成。

  

  

ペダルを漕ぐ。漕いで、漕いで、漕ぎ続ける。

やがて、頼朝軍に対抗して奥州藤原氏が築いた阿津賀志山防塁を越

えた。大昔に造られた人工の土盛が国道4号と垂直に交差している。

(127~128p)

 

そんな防塁が残っているんだとびっくり。

読み方は「あつかしやま」と読みます。

この動画を見ました。

   

番画〈535〉

みちのく歴史紀行、阿津賀志山の戦い…鎌倉と平泉の命運をかけた戦い
YouTube: みちのく歴史紀行、阿津賀志山の戦い…鎌倉と平泉の命運をかけた戦い

   

源義経の死後に、源頼朝と藤原泰衡の異母兄藤原国衡の間で、

このような戦いがあったことを初めて知りました。

これは勉強になった動画なので、番画扱いにしました。

来年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でもこの防塁が出るかも。

このサイトも勉強になりました☟

藤原泰衡と奥州藤原氏の滅亡ドタバタ劇 大河『鎌倉殿の13人』でも注目

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