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2021年3月30日 (火)

「15歳のコーヒー屋さん」② 中1で人生の転機

    

今日は3月30日。

  

前記事に引き続き、

「15歳のコーヒー屋さん 発達障害のぼくができることから

 ぼくにしかできないことへ」(岩野響著/KADOKAWA)より。

   

引用します。

  

支援学級には行きたくない。しかも、その理由が、宿題ができない

からだというのが、みっともなくて恥ずかしい気分でした。

たとえテストの点数はとれなくても、宿題を出すくらい誰でもでき

るだろうというのが一般的な考え方ですよね。だけど、そのノート

に書き写す宿題が、ぼくはどんなに時間をかけてもできないわけで

す。

そして、中学にいることがどんどん難しくなり、学校に行くことが、

しんどくなりました。教室にも、部活にも、ぼくの居場所がなかっ

たのです。

(70p)

現在、中学校の特別支援学級担任です。

生徒がどんな思いをもっているかの参考になります。

  

  

ちょうどその頃、両親の仕事関係の方から、「そんなにコーヒーが

好きなら、焼くところからやらなきゃダメよ」と手回しの小さなコ

ーヒー焙煎器を譲っていただいたことも、大きなきっかけになりま

した。

焙煎をしてみたら、味の変化がすごくおもしろくて、もっとやりた

い!と意欲がわきました。思えば、これが人生の転機になりました。

(103p)

   

中1で人生の転機が来たのは早い。

普通とは違うルートを歩んでいたからこそ出合えた転機。

いいじゃないですか。

幸運だったと思います。

  

   

響君の両親は、布を自分で染めて服を作ってそれを売る仕事。

響君はその店に顔を出し、いろいろな人に出会います。

  

そこで、ぼくはたくさんの仕事やお金の稼ぎ方があるということ

を知りました。それまでのぼくは、仕事というのはどこかの企業

にお勤めするものだと思っていたし、世の中にこんなに多くの職

業があることを知りませんでした。

中学を卒業したら高校に行って、次は大学に行って就職をする、

と当たり前のように考えていたので、働くことや職業について、

考える機会もなかったというのが正直なところかもしれません。

両親と同じように洋服を作っている人や、それを販売している人

たちはもちろん、ファーマーズマーケットで有機野菜を売ってい

る農家の人や、菌を発酵させてパンを焼いている人、金属を叩い

て作品を作っている彫金作家や陶芸作家など、個人で仕事をして

いる人たちとの出会いをとおして「こういう生き方もできるんだ

!」ということを身をもって知ることができました。

(108p)

   

中学生のキャリア教育をどうやってやるかを考える時に、

ヒントになる文章だと思いました。

響君がそうであったように、様々な職業を中学生の時に知るのは

大事なことです。

「こういう生き方もできるんだ!」と思う子は

少なくないと思います。

  

  

響君のお母さんの文章です。↓

 

いまどきの子育てはほめて伸ばす傾向があって、できないことが

あるのもその子の個性だと言われます。でも、できないことがあ

るから、他に何だったらできるかな?と考えるようにしたいと私

は思っています。

根本にあるのは、「1個できなかったら、1個できることを見つ

ければ、0になる」という思いです。

響のできることを一緒に見つけてあげたいと思っています。

響にはできないことも多いし、私自身にもできないことはたくさ

んある。だけど、できることもたくさんある。

そうやって生きていけばいいと考えるようになったのです。

(118p)

  

できないことには目が行きやすい。

小さくてもできることを見つけたら、それが拡大する可能性あり。

そんなできることを見つけたいですね。

  

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