「長屋王残照記 第一巻」/元号が「和銅」になった理由
今日は令和3年1月9日。
この本を読みました。
「長屋王残照記 第一巻」
(里中満智子著/中公文庫コミック版)
「比ぶ者なき」を読んで興味を持った「長屋王」を知りたくて
この本を選びました。
引用します。
708年1月
武蔵国秩父郡で非常に純度の高い自然銅が発見された。
これを記念して元号を「和銅」とあらため
2月には早くも催鋳銭司(さいちゅうせんし/造幣を監督する役所)
が設けられ、財源確保のめやすがたつと同時に(平城京への)遷都が
決定された。
(66~67p)
「比ぶ者なき」では貨幣については書かれていませんでした。
「長屋王残照記」では貨幣にスポットが当たっています。
遷都のために労賃を払うのに物(絹や米)を渡していましたが、
それが膨大な量になるので、国庫にはその財源がない状態。
国が貨幣を発行して、貨幣で労賃を払えるようになるといい。
しかし、日本には国家財政の基盤になるほどの貨幣の量を
発行する埋蔵量のある鉱脈が発見されていませんでした。
もし鉱脈が発見されなければ、遷都は無理ということでした。
「和銅」という年号にはそのような意味があったのだと知りました。
今ではお金を使うことは当たり前ですが、
物々交換が当たり前の時代に、貨幣が発行されても、
本当に大丈夫なのか、貨幣で労賃をもらうよりも物でもらう方がいい、
という雰囲気があることも、この「長屋王残照記」で知りました。
長屋王はどのように描かれているか?
同僚が長屋王に意見するところを引用します。
旅人:長屋殿・・・あの・・・こう言うのもなんですが、
世の中そんなに礼儀正しい人ばかりじゃありませんよ。
長屋王:旅人殿。
旅人:あなたが道をはずさないまじめな人だというのは
よくわかっています。
しかし、他のすべての人にまでまじめさを求めすぎると
かどが立つこともありますよ。
そうならないように少しは回り道の味わいも認めなければ・・・・
ちょっと心配になるんですよ。
とにかく・・・あなたをみてるとほんとうに育ちがいいんだなと
感じますよ。
まっすぐに生きてこれた。
それはあなたを曲げようとする人と
出会っていないということですよ。
ひとはたいていなにかの力に曲げられながら
大人になるものです。
あきらめたり、自分をごまかしたりする知恵を身につけてね。
長屋王:旅人殿・・・もし人生があなたの言われるようなものだとしても、
意思の力で曲げられた道をまっすぐにつくりなおすことができると
信じている
旅人:長屋殿!
長屋王:ただどの道がまっすぐなのかみきわめる目を持たなければ・・・と
そう考えています。
(140~143p)
「長屋王残照記」の長屋王はこんな感じです。
その長屋王の前に、理解が難しい人物として存在するのが藤原不比等です。
藤原不比等のやり方を見て、長屋王がどう行動するかです。
第二巻のお楽しみです。
長屋王は仏教にも関心をもっており、
日本にきちんとした仏教の教義解釈を広める必要があると考えていました。
そのためには唐から立派な僧を招く必要があるとして、
次のような行動をとります。
ここは2ページ、コピーを載せます。
鑑真に関して今まで知らなかった説です。
勉強になった本です。
二巻はまた後日読みます。
焦らず。
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