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2020年7月19日 (日)

「ぶどうの木」②/この子のためになんでもしてあげたいと思う台詞

   

今日は令和2年7月19日。

  

前記事に引き続き、

「ぶどうの木 10人の”わが子”とすごした、里親18年の記録」

(坂本洋子著/幻冬舎)より。

  

  

坂本さんの最初の里子、純平君について書かれた文章です。

  

 苦しむために生まれてきたような純平の人生を間近に見せられて、

自分たち人間には到底届かない領分というものがあるのだというこ

とを感じたのです。

 一生懸命に努力をすれば人生は何とかなると思ってきた私たちは、

純平の死がきかっけに、決してそれだけではないことを知ったので

した。

(215p)

  

「一生懸命に努力をすれば人生は何とかなる」を

否定する死だったのですね。

日々、今を充実させないといけないということでしょう。

  

  

 凶暴な言動が出ないときには、別人のようにホロリとする言葉を

口にします。

「僕はこの家で幸せになりたいんだよ」

 拓也のその台詞(せりふ)を、何度か聞きました、いったいそん

な健気(けなげ)な呟(つぶや)きを聞いてしまえば、やはりこの

子のためになんでもしてあげたいという思いにかられるのも事実。

(224p)

  

これもあるなあ。

なかなか落ち着かない児童生徒であっても、

時々こちらのやる気を刺激する台詞を呟いたり、

行動をしたりするのです。わかるなあ。

  

  

 いったん子育てを途中放棄したかたちになりましたが、秀樹が幼

い頃には、それは手をかけて育てていたようです。かわいがられて

幼少期を過ごしたことが、お預かりした私にはとてもよくわかった

のです。

 曇っていた宝石が磨いたらたちまち輝いてくるように、精神面や

生活面での伸びには目を見張るものがありました。知的な遅れはあ

るけれども、とんかく素直で、里親が愛情をかけることですくすく

育っていける素地があったのです。

 逆に乳幼児期から親に見放された子が抱える心の大きな穴は、私

たちがどこまで手をかけても埋め尽くせません。里親がいくら奮闘

努力しても、限界というものがあるのです。

(230~231p)

   

坂本さんの体験からも、乳幼児期のトラウマの改善は難しいのです。

  

  

 貴之が事件を起こした時にも、何人かでそのことを追究しました

が、事実はいまひとつはっきりしませんでした。それを取り繕って

嘘をついているというより、それが夢の中で起きたことなのか実際

に自分がやったことなのか、自分でもわからないのです。

 人は、小さい頃からの母親とのきめ細かな接触によって、事実と

そうでないものとを区別できるようになるのだと思います。

(240p) 

 

嘘をつく児童生徒をどうみるか。

嘘をつくことはもちろん悪いことですが、

それを叱るだけではなく、そのバックグラウンドまで考慮すること。

叱りながら、いつも「なぜ?」と思っていたら、

いつか正解に行きつけるのだったらいいなと思います。

駄目なものは駄目とは簡単に言い切れない自分です。

  

  

「お母さんはあなたのこと大好きよ」

「お母さん、私のこと好き?」

「もちろんよ、大好きだよ」

「ほんと?」

 こんな時の子どもの瞳は、それは輝いています。実の親子のよう

に”言わなくてもわかる”という部分が多くない私たち親と子は、お

互いの思いをきちんと言葉で表現しなければ伝わらないのです。そ

れはまた、私が叱った時にでも、揺るがない信頼感や安心感を培う

ための、私からのメッセージでもあります。

「私はあなたを好きなんだよ」

「私はあなたを愛してるんだよ」

「私はあなたが大事なんだよ」

 いつも口に出して具体的に伝えておかなければ、子どもたちに真

意が通じないことがあるのです。

(245p)

  

私が「特別な社会科」をめざしている理由のひとつでもあります。

人数的には少ない人数の授業ですが、

毎時間手を抜かず精一杯の授業をすることで、

生徒に信頼感をもってもらいたいと思っています。

 

 

以上です。

 

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