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2020年5月 3日 (日)

「長期ひきこもりの現場から」⑧ ひきこもりの人の”初笑い”体験

 

今日は令和2年5月3日。

  

少し間が開いてしまいましたが、

4月13日の続きで、

ドキュメント・長期ひきこもりの現場から

(石川清著/洋泉社)より引用します。

この本は「ひきこもり」「不登校」について参考になることが

まだまだたくさんあります。

  

石川清さんが、ひきこもりの人(茂雄君)と

一緒に海外旅行をしていた時のこと。

  

 その宿の食堂で談笑しながら食事をしていたときのことだった。

突如として茂雄君の笑いが止まらなくなってしまった。2分、3分

・・・・5分・・・・茂雄君の笑いはなかなか止まる気配がない。

それどころか、5分を過ぎたあたりで、こんな奇声を発した。

「ハハハハ、い、行きができませんっ!フハハハハッ」

 笑いすぎて息継ぎのタイミングがどうやらわからなくなったよう

だ。とはいえ、普段から時々、笑ってはいたが、いったいどうした

のだろうか。ちなみに、茂雄君も僕も酒はまったく飲んでいない。

僕はアルコールアレルギーの下戸なので飲めないし、茂雄君も酒を

飲む習慣はなかった。

 5分を過ぎても、笑いはまったく止まらない。息継ぎはあいかわ

らずうまくできないようだ。笑いながらお腹を抱えて、椅子から崩

れ落ちて地べたに座ったり、寝転んでいる。それでもしばらく笑い

続けていた。(中略)

 10分近くたって、ようやく笑いがおさまった。

「あー、楽しかったけど、しんどかった・・・・」

 どうやら、僕と話していて、気分が高揚してきて、すごく楽しい

というか、幸せな気分になったらしい。そして、笑いだしたのだが、

いつもの笑いと全然違うというのである。

「正直言って、今までなんとなく笑わなければいけないんじゃない

かな、と思って、笑っていたものばかりでした。無理したわけじゃ

ないですけれども、周りの空気を意識しながら笑うというか。愛想

笑い延長、みたいなものかもしれないです。テレビを見て笑ったこ

とはありましたが、ひとりで笑うそれとも全然違いました。

 今の笑いは、突然自然に湧き上がってきた笑いなんです。不意打

ちでした。準備もできないうちに、勝手に笑いだしてしまったので、

息をするヒマもなくなって、生まれて初めてですよ。純粋におかし

くて笑ったのって。僕は本当に笑ったことなかったから、笑い方を

知らなかったんですね・・・・・」

 その後も何度か大笑いしたが、じょじょに息継ぎはうまくなって

いった。というより、その後は周囲を気にすることなく、茂雄君は

よく笑うようになった。

(173p)

 

 

”初笑い”体験者がもう一人紹介されていました。

シンゴ君。石川さんと沖縄旅行中でした。

 

 首里城の博物館を一緒に見学した。その展示物に”チブルシーサー”

があった。

 シーサーとは、沖縄の魔除けで本土では狛犬にあたる。チブルとは

琉球の言葉で”頭”の意味で、チブルシーサーとは異様に頭でっかちの

愛嬌あるシーサーのことだ。ちなみにウルトラセブンに登場するチブ

ル星人のモデルともいわれている。

 そのチブルシーサーを見て、僕が右(上)のような解説を始めた途

端、突然笑いだしてしまった。茂雄君と同じようになかなか笑いが止

まらない。そして「い・・・息ができませんっ」とつぶやいて、床に

転げながらしばらく笑い続けていた。

 数分後にようやく落ち着いたとき、こう言った。

「ああ、面白かった。チブルシーサーとチブル星人のイメージが頭の

中で重なってしまった途端、不意に楽しくなって、笑いだしてしまい

ました。こんなの初めてです。本当に笑ったのは初めてかもしれませ

ん。自然に不意に笑いの衝動って、湧き上がってくるんですねぇ。息

が続かなかったです。笑いながら息をするのって、どうやってやるん

でしたっけ?」

(174p)

 

こうなると、チブルシーサーと見たいし、

チブル星人を思い出したい。

 

チブルシーサー

Ikutouen_chiburusisa102 和雑貨美輪

  

チブル星人

Photo 趣味とかコレクションとか

 

ひきこもりの人は、笑いについてこのような状況なのだと知りました。

この件については、「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも

扱われていました。

ここでも道草 「ひきこもり支援 石川清」⑤ 取材者から支援者になった(2020年3月10日投稿)

 

私がこれから接する不登校の子にも

この可能性があると思って接したい。

石川さんのような努力をすることの結果で、

”初笑い”現象が起こるのですね。

実際に目の前で見たい。

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