「雨ふる本屋」 読んで、読んで、と、本たちが・・・
今日は令和2年5月29日。
勤務校の図書室の本、9冊目としてこの本を読み切りました。
「雨ふる本屋」(日向理恵子著/童心社)
引用します。雨に降られて、
図書館に避難した主人公の見たものです。
読書用の細長いテーブルでは、ヘッドホンをかけた学生さんや、
黒ぶちメガネのおじさんや、頬づえをついた女の人などが、もくも
くと本を読んでいます。みんな、本に魔法をかけられたようにだま
りこくり、コトリとも音をたてません。
すこししめっぽくて、むっとするほど静か。それに、ずらりとな
らんだ本棚のすべてから、視線のようなものを感じます。読んで、
読んで、と、本たちが、ルウ子を見つめているかのようです。
(中略)
読みこまれて、かどのまるくなった本の背は、じいっと目を細め
てこちらを見ているようでした。---その視線が、四方八方から
小さな引力になって、ルウ子の心をひっぱります。
(6p)
著者紹介には次のように書いてありました。
「幼少の頃からおとぎ話を書きはじめる」
その延長上にあるようなおとぎ話的な本でした。
きっと図書館は好きな場所で、
そのような著者が図書館に行くと、このように感じるのだろうな。
少しは共感できます。
ルウ子があとじさると、ふたつの太陽のような目がお店をのぞき
こみ、イライラとした声が降ってきました。
(126p)
「あとじさる」という言葉に注目。
「あとずさる」じゃないのかと思いましたが、
調べたところ、どちらでもいいようです。
「あとじさる」でもいいとわかったのが収穫です。
「雨ふる本屋」というタイトルは「雨降る」と「古本」が
合体した言葉でした。
その「雨ふる本屋」のご主人、フルボン氏の発言。
「本というのは、たましいこめて書かれるかぎり、すべてが『すご
い本』なのだ。それを感じることができるかどうかは、読み手の質
にかかっているがね」
(219~220p)
結局「読み手」かと突っ込みたくなりましたが、
「すごい本」だとわかる読み手になりたいと思います。
「雨ふる本屋」からの引用を終えます。
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