パラリンピック〈23〉 「パラアスリート」⑩ 断端 足の切断面の名前
今日は令和2年2月22日。
前記事に続いて
「パラアスリート」(山田清機著/PHP研究所)
より引用します。
【パラ陸上選手 佐藤圭太/さとう・けいた】
足の切断面を「断端(だんたん)」と呼ぶ。義足を装着すると
きには、断端を覆う靴下のようなシリコン製のライナーを履い
てから、ソケットと呼ばれる筒状の部分に断端を入れる。こう
した緩衝材を使わないとソケットにピタリとジョイントしない
し、断端に傷ができてしまうという。
(佐藤)「特に足を切った当初は断端が薄い皮膚で巻いている
だけで、足の裏のように皮が厚くなかったので、簡単に傷がで
きてしまいました。だんだん皮が厚くなってはきますが、断端
にすべての荷重を受けるので、ちょっとしたことで傷ができや
すいですね。」
(198p)
足の裏の皮は厚くなっていて、保護されていることを知りました。
足の裏に感謝です。
ちなみに、佐藤が初めて使った義足は「今仙(いません/今仙
技術研究所)」という日本のメーカーの義足だったが、世界的
にはドイツの「オットーボック」とアイスランドの「オズール」
というメーカーが二大勢力だという。モノづくり大国日本の製
品が、義足に関してはこの二社の後塵を拝しているというのも
意外なことである。
(200p)
佐藤の(現在の)義足を手がけているのは、このランニングス
タジアムのラボに入っている「Xiborg(サイボーグ)」である。
Xiborgは2014年にソニーコンピュータサイエンス研究所研
究員の遠藤謙が為末大らとともに設立したベンチャー企業だ。
競技用義足だけでなく、ロボット義足や途上国向けの低価格義
足の開発なども行っている。
(205p)
佐藤は、義足がフィットしていないと断端に荷重がかかってい
るように感じるが、フィットしているときはつま先に荷重がか
かっているように感じると言う。つまり、無い足があるように
感じられるというのだ。裏返して言えば、足が無いことを忘れ
させてくれる義足こそ、ベストな義足ということになるだろう。
(207p)
遠藤は、”義足のメガネ化”を目指しているということかもしれ
ない。それが実現されれば、足が無いことを忘れさせてくれる
だけなく、「その義足おしゃれだね」などという会話が自然に
交わされる世の中になるのかもしれない。
(207p)
だが、現在の義足はまだ過渡期にある。そして、過渡期である
ことを象徴する存在が、義足の走り幅跳びジャンパー、マルク
ス・レームと、義足のランナー、オスカー・ピストリウスだと
いう。
(遠藤)「ふたりとも義足のアスリートでありながら、レーム
はオリンピックへ参加が認められず、ピストリウスは認められ
ました。では、いったいふたりのどこが違ったのかといえば、
レームがオリンピックに出ると金メダルをとってしまう可能性
があり、ピストリウスにはその可能性はほぼなかったというこ
とに尽きます。健常者は無意識のうちに義足の人の運動能力は
自分たちよりも劣ると思っており、その認識が脅かされない範
囲では『義足なのに頑張っているんだから(オリンピックに)
出してあげよう』と考える。しかし、義足のアスリートが健常
者に勝ってしまった瞬間、義足はズルいとなってしまうのです。」
(208p)
義足に関する勉強ができる章です。
マルクス・レームが8m50cmを跳んだ時の映像です。☟
YouTube: 【パラ陸上】マルクス・レーム 8m50‼︎ 東京2020 1 Year to Go 世界記録チャレンジ
次の映像は2012年ロンドンオリンピックでのオスカー・
ピストリウス。400m準決勝。8位であったため決勝進出ならず。☟
YouTube: Oscar Pistorius runs 400M London Summer Olympics 2012
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