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2020年2月29日 (土)

「大熊町学校再生への挑戦」④ 4月5日から全職員で準備作業が始まる

  

今日は令和2年2月29日。

おまけの日。

  

前投稿に引き続き

大熊町学校再生への挑戦」(竹内敏秀著/

福島県大熊町教育委員会編/かもがわ出版)より

引用します。2012年発刊の本です。

   

いろいろな立場の人たちの文章です。

  

会津若松市よりお借りした園舎は2010年度末まで使用され

たものであり、施設設備をはじめ、備品や消耗品まで、そのま

ま使わせていただくことになりましたので、年度初めの準備作

業の手間は、大幅に省けました。ただ、新年度の学級数は5ク

ラスでしたので、不足の2クラスは、3キロメートルほど離れ

た大田原保育所跡を借用することになりました。

園舎が2つになることで、一体感がなくなる等のデメリットは

ありますが、それよりも大熊町の幼稚園として出発できること

の喜びのほうが、はるかに大きいものでした。2011年度が

スタートしても園児数は減少し、2012年度4月までの1年

間で、園児数は(130名ほどから)92名にまで減少してし

まいました。主な原因は、家族の仕事の事情にともなう転居に

よるものであり、やむをえないことでした。

(74p 林洋一/熊町・大野幼稚園園長)

  

  

夢のような1年が、夢のように過ぎました。

「これは、まぼろしではないのか」と、幾たび思ったことか。

今、私たち大熊町民は、子どももおとなも、1人の例外もなく、

「想定外の地」で、「想定外の時間」を過ごしています。故郷

大熊町にもどれたとしても、失った時間は取りもどせるわけで

はありません。しかし、現在の一瞬一瞬は、決して「仮の日々」

ではなく、紛れもなく「ほんものの人生」を生きているのです。

子どもたちと過ごす日々もまたしかりです。日々の保育は、ほ

んものの時間であり、「真剣勝負」の時間です。子どもたちや

職員とともに、今この時を精いっぱい生きていこうと思ってい

ます。明日を信じて。

(77p 林洋一/熊町・大野幼稚園園長)

  

こういう思いだったんだなと思って読みました。

  

  

学校としての全町避難後の最初の大きな仕事は、教職員や児童

の避難先の確認です。まず、全教職員の避難先を調べ、全児童

の避難先確認を全教職員が分担しながら行いました。

町として集団で避難している避難所へ行けば手がかりも大きい

と判断しましたが、行こうと思ってもガソリンが手に入らず、

バスや電車も止まり、困難をきわめました。確認作業はほとん

ど携帯電話で行われ、職員の通話料金も大きく跳ね上がりまし

た。全児童の避難先確認をおえるまでにかなり時間がかかりま

した。

(84p 大清水久雄/前・大野小学校校長)

  

このことに限らず、震災後に学校立ち上げにあたって

さまざまなことが行われていたことを、この本で初めて知りました。

  

  

4月5日、幼稚園、小・中学校の全職員が、体育館に集合し、

町教育委員会教育総務課の指導主事から、これからなすべきこ

との指示を受けて、いよいよ学校再開の準備です。学校は、業

者の手できれいに磨かれ、寒さの厳しい地域なので、ストーブ

が急ピッチで設置されていました。しかし、他の物は一切あり

ません。でも、驚いたことには、6日には、地域の方々が、4

年ぶりに使用することになった学校の環境整備のために一生懸

命作業してくれました。花壇を作ったり、樹木を剪定したりし

て、子どもたちや我々を大歓迎しようとしている姿に感銘しま

した。地域の方々も、「1度廃校になってしまった私たちの校

舎がよみがえり、とてもうれしく思っています」ということで

した。会津若松市、河東地区のみなさんの心温まる歓迎を受け、

新任地での不安も薄れ、大きな希望がわいてきました。

(85p 大清水久雄/前・大野小学校校長)

  

廃校した学校が、地域の人たちの協力を得て復活するという、

ドラマチックなことがあったのですね。

指導主事さんが体育館で話したことは、

指導主事さんの記述にありました。

   

「御覧のとおり、何もありません。ゼロからの出発です。いつ

までここにお世話になるのか、いつ帰れるのかわかりませんが、

大熊町が用意してくれたこの河東第三小学校で、子どもたちが

笑顔を取りもどし、安心して、楽しく学べる学校をつくるべく、

一致団結してがんばりましょう」と話して、早速、作業に入っ

てもらいました。

(140p 鈴木恵一/大熊町教育委員会教育総務課指導主事)  

   

  

つづく

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