「本を読む人だけ」④ 300冊を超えたあたりで、何か語りたくなる
今日は令和2年1月9日。
昨日の記事の続きで、
「本を読む人だけが手にするもの」
(藤原和博著/日本実業出版社)より引用していきます。
序章で触れた「20世紀型の成長社会」から「21世紀型の成
熟社会」への移行をわかりやすくいうと、「ジグソーパズル型
思考」から「レゴ型思考」への転換と言い換えることができる。
(中略)
20世紀の日本の教育は、たった1つの正解を早く正確に導き
出し、パズルをだれよりも早く仕上げられるような少年少女を
大量生産することを目指してきた。
(中略)
成熟社会では自らビジョン(図柄)を打ち出して道を切り拓い
ていかなければならない。なのに、ジグソーパズルばかりをや
っている。そこに日本人の不幸がある。
反対に、レゴブロックの組み上げ方は、知恵を出せば無限に広
がる。(中略)みんな一緒の正解ではない。一人一人が、自ら
納得する解(納得解)をつくり出すことができるかどうか。そ
れがすべてだ。
(72~74p)
レゴ型思考を身につけるための有効な手段の一つに、本がある。
(75p)
つまり、『半島を出よ』という本を読むことは、村上龍さんが
それに傾けた人生を読むことにもつながるのだ。とりわけ構想
から10年の思索と、200冊を超える書籍や資料、大量のイ
ンタビュー取材という投資を行って考え抜いた物語を「共有す
ること」なのである。しかもそれを、エンターテインメント作
品として楽しむことができる。
(78p)
作品は作家の「脳のかけら」である。
その脳のかけらを、読者は本を読むことで自分の脳につなげる
ことができるのだ。
(78p)
本を読む時間が、自分の病気と会社の事件(リクルート事件)
によって創出されたのである。メニエール病になっていなけれ
ば、日々の激務と引き換えに出世街道を邁進し続けたと思うの
だが、病気になって、まったく違う人生を生きることになった。
仕事に没頭していた時期はそれなりに充実していたが、そには
ない、本を読む時間を楽しむ人生があることをようやく知るこ
とになる。
(114p)
きっかけはともかく、読書をする時間をたっぷりとれるように
なったことで、私のなかに大きく変化するものがあった。「自
分の意見をつくり上げるための読書」という視点だ。
(115p)
本を1冊読んだからといって即効性があるものではない。見識
というのは、蓄積以外の何物でもない。ある一定のラインを超
えない限り、自分の意見をつくり上げるほどのものにはならな
い。
(117p)
年間100冊を3年続けると300冊になる。300冊を超え
たあたりからだったと思うが、自分の中から言葉があふれ出す
ようになった。世間のさまざまな事象に接して、自分も何か語
りたくなるのだ。
(125p)
300冊かあ。私もこの境地に至ってみたい。
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