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2018年6月19日 (火)

「楔(くさび)」の縦棒は突き抜けます!

今日は6月19日。

  

授業で「楔形文字」と板書していて、

生徒から「”楔”のここの部分は下に突き抜けると思います」と

指摘されました。

横棒3本を縦に貫く縦棒のことです。

私が書いた字は下に突き抜けていませんでした。

あまり気にしていなかった部分なので、

教科書をチェックしました。

教科書の写真です↓

 

Epson848  

「新編新しい社会 歴史」(東京書籍)25p

 

老眼の私には辛いくらいの微妙さで、

縦棒は下に突き出ていました。

板書を修正しました。

しかし、ずっと貫かないと思いこんでいました。

   

今朝、「常用字解」(白川静著/平凡社)を調べてみました。

「楔」は載っていませんが、「契」は載っています。

(ムム、は縦棒が貫かないぞ?)

 

一部、写真で載せます。

2_3  

「契」の場合は、元は縦棒は突き抜けますが、

今は突き抜けないのが一般的なようです。

では「楔」は?

 

角川漢和中辞典」(角川書店)には、

縦棒が突き抜けた字しか載っていませんでした。

 

結論。

私は「楔」という漢字を木偏に「契」と思い

縦棒を突き抜けずに書きました。

しかし、「契」は「契」であって、

「楔」は突き抜けます。

   

  

※参考:漢字の正しい書き順 「楔」

※参考:漢字の正しい書き順 「契」

そうかあ、「楔」と「契」の横3本の書き順も

変わってくるんだ。

「楔」は横棒3本書いて縦棒。

「契」は横棒1本、縦棒、そして横棒2本。

  

  

朝のささやかな勉強。

機会があった時が勉強のチャンス。

さあ出勤。出動。

コメント

またまた余分なコメントです。漢字は、清の康煕字典の例がわかりやすいですが、世の権力者によって変わります。出る出ないについては、細やかな多様さの一つのように思います。角の縦画の突き抜けも同じです。将棋の駒で調べれば一目瞭然です。ところで、40年前に江守賢治という文部省の教科書調査官がいましたが、その方が、文部省を退官してしばらくしてから、「解説字体辞典」を出版します。その序文には、簡単に書くと、①文部省の関係者の立場では書けなかったことを書けるようになった。②コピー機器の発達も出版を助けたというようなことが書かれています。「早わかり国語」とかいう500円ほどの本の古書価が3万を超えていて楽しいな。明治以降の漢和辞典は、康煕字典をもとに編纂されています。康煕字典で改竄された漢字がそのまま正しいものとして編纂されているので、私には、ヘソ茶的な感覚です。地震計の設置されている地盤がきっと怪しいだろう新城の地震計がいつも大げさな値を出すのを見て苦笑いしています。長くなったので終わり。

コメントをありがとうございます。
メッセージも読みました。
このネタに絡んできてくれてありがとうございます。
メッセージで返信します。

ざっくばらんな話、私は漢和辞典の活字、説明、歴代の文部省の解説が、歴史的に正しいとは思っていません。こう考えている根拠は、「解説字体辞典」の記述です。

無理な話ですが、今の漢和辞典を数百年から千数百年前の歴史的に有名な書家に見せたら、

「コンパクトで持ち運びに便利で素晴らしいとは思いますが、奇妙な字や説明がありますね。これらは私が師から教わった字とは違いますね。」
と言うと思います。

漢字の姿や筆順は、筆の運びやすさ(書きやすさ)にも関係します。ですから、楷書と行書で変わります。
専ら多く書かれていたのは、崩し文字でとてもじゃないけれど読めない手紙や記録の例でもわかるように行書です。
漢籍の字は、木に彫られた楷書ですから、筆の運びに差が出てくるのは当然の話です。
極端な例ですが、漢字の「毛」とひらがなの「も」は筆順が違いますね。

木へんが付くことで、契と楔の字の形が変わるのは、おかしな話だと思いませんか。なぜ違うのか、合理的な説明が知りたいです。
そしてその違いを万人が記憶し区別しなければならないのもおかしな話です。
ばらばらでも問題ないと思いますし、書きやすい筆順が後世に残っていくのだと思います。

私は、横横縦横なら貫かないし、縦横横横と共に、右の刀につながって書き易いと思います。出ても出なくても、問題なしです。

何万字もある漢字の辞典を作る過程で、文字の数を減らす必要性があり、そして似た意味を持つ複数の字が統一され、間違った分類や解釈が起こったり、意図的に変えられたりしたと思います。

皇帝や学閥や文部省の権威によって押し付けられた結果が今の日本の漢字の実態だと私は思っています。

やはり、出る、出ないについては、細やかな多様さの一つのように思います。

ネットの楷書の書き順も、歴史的に、複数ある筆順の中の一つが載っているだけです。行書で書き易ければ、楷書でも書き易いですからね。いろいろな筆順の混在するのは仕方のないことです。

そもそも、これが正しくて、それ以外は間違い。根拠はネットや漢和辞典や文部省というのは、判断の基準を他に任せたり、依存したりするので、思考停止に慣れてしまう危険性を含んでいると懼れています。

生徒の指摘に、私なら、漢字の歴史は古いから、いろんな読み方や意味、字の形や筆順が混ざってるんだな。何が正しいかは、わからないので、出たり出なかったりは、漢字検定の人に聞いてみるのも楽しいかもしれないよ。
というのはどうでしょう?
随分儲けているし、中学生の質問を反故にしないでしょうから。
どんな返事が来るか、私も楽しみです。
きっと背景に潜む魑魅魍魎を恐れ、丁寧なお返事を頂けるものと信じています。

しっかりコメントをありがとうございます。
範洋さんの言うとおりだと思います。
漢字の厳密さにこだわるのは
もちろんおかしいと思います。
たくさんの漢字が、辞典をつくる過程で
統一、削除、簡略化などが行われ、
さらにそこに間違った解釈が加われば、
後の世の人が厳密さにこだわるのは
無駄なことにも思えます。
 
私が楽しみたいのは、お話です。
辞典を作るにあたって、
漢字が変わってきたことも面白い話です。
人間らしくていい話だと思います。
  
楔が横横横縦で縦棒が貫くのに、
なぜ契約の契は横縦横横で貫かないのか。
この違いはなぜか?
何か理由になるお話があったら面白いじゃないですか。
なかったらなかったで、
今回のようないろいろな出来事の連鎖が楽しいです。
  
⑴黒板に板書したら、楔は縦棒が貫くと生徒が指摘。
⑵教科書を見たら、ほんのわずか貫いていた。
 本当にわずか。教科書も半信半疑で貫いている感じ。
⑶似た字の契約の「契」は貫いていない。
⑷字源について調べて、ブログにまとめた。
⑸コメントがたっぷり届く。(ありがとうございます)
⑹テストで生徒は「楔」の横横横縦は
 しっかり書けていましたが、
 「大」の部分が「糸」になったり、
 「木」になったりしてまちがえる子が多くいた。
⑺「解説字体辞典」を貸してもらい、調べる。
 
板書を指摘されたことでスタートしたこのお話を
私は楽しみたい。
教師がこだわったので、子どもも注目して、
教科書や資料集で調べていました。
生徒にさらに範洋さんの意見を言ったら、
子どもたちの視点も広がります。
  
字源のような「いわれ」話も面白いけど、
事象から新しく始まったお話も面白い。
人は物語を好むと言います。
私はすごく共感します。

 

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